☆Friend&ship☆ -序章-
「じゃ、勝手にする」
すっくとたって俺は静かにオリオンへと歩み寄った。
甲板に倒れたオリオンは哀しげにこちらを見つめた。
そして俺はつぶやく。
「魔法解除」
驚いたように目を見開いたオリオンに俺は優しく手を差し伸べた。
「立てよ。」
「…」
俯きオリオンは震える。
さっきよりも小さくなって見られるのを拒むように。
「命令。立て」
今度は少し厳しく言うとフラフラと危なげに立ち上がろうとする。
驚くほど線が細い。
腕をつかんで引き上げてやれば体重もほとんどなかった。
すらりとした身長は俺よりも高い。
美しく揺れる赤い髪。
きつく唇は結ばれていた。
前髪から覗く切れ長の美しい瞳は赤。
「…!!」
オリオンは、見たこともないほどの美少年だった。
「…この姿を、お前は望むのか」
深いその声さえも、その動作一つ一つがまるで芸術。
「格好…いい…」
俺は、そう言わずにはいられなかった。