☆Friend&ship☆ -序章-

キングは厨房のほうで何やら鈍い音を聞いた。

うめき声のような声と、そのあとのドサッという音。

そして、自分を呼ぶ声。


ラストの音を無視していると、もう一度呼ぶ声が聞こえた。

ため息を隠そうともせず、ちらりと目をやり、そのあとキングは瞳を見開き、口を開けて呆然とした。

「手伝えよー」

「何しでかしたんだよ!!」

「何って…」

休ませてやりたくて、と心底辛そうに言ったゼウスをキングは危うく殺しそうになった。


「そのやり方はないだろうが!!」

うう、とゼウスの肩に担がれたタナトスが、かすかなうめき声を漏らした。

もうすでに意識はない。


キングは慌ててタナトスを受け取ると、乱暴に担ぐのではなく、優しく横抱きにした。

というのも、傷口が腹部であり、たまに痙攣らしき動きをするからだ。

でもどんな理由があろうと見た目がシュールなのは全く変わらない。


金髪の好青年が赤髪の美少年を抱きかかえている。


同じく金髪のゼウスはこみ上げる何かをうまく内臓の中に収めようと苦心するのだった。
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