☆Friend&ship☆ -序章-
しかしゼウスの苦労など知るものかとばかりにキングは今にも白馬に飛び乗りそうな様子。
ただし腕に抱えているのは麗しい王女ではなく絶世の美青年。
そこがまた吐き気を呼ぶ。
味を感じかけたゼウスは慌ててゴクンと飲み下した。
「ったくゼウスのやつめ…」
せっせと機械に包帯をかませながら、キングはそっとタナトスの寝顔を眺めた。
心なしか安らかに見える。
ふう、とため息を吐いて視線を外した。
次は静かに包帯を巻いていく飛行状の看護機を黙って見送る。
一寸の狂いなく入り乱れ包帯を巻いていく二体の白。
心からのため息にほんのひと時の安楽をのせ、ふわりと吐き出した。
一体、何を抱えていたんだろう。
暗い表情は、とてもじゃない、少年のものとは思えなかった。
何を感じてきたんだろう。
青白い頬は嬉しさにゆるんでいたとは思えなかった。
思っていたんだろう。
過去か、未来か、不幸か、幸せか。
自分か、身内か、他人か。
罰か、罪か、罪悪か。
「わかんね」
自分のほうがはるかに長い時間生きてきたはずだというのに、まだ15位…正確には14と少しの少年と呼ぶにふさわしいあいつに振り回されてる。
手を伸ばせばかわされる。
言葉をかければ流される。
「わかんね」
でも、なぜかはわからないが第六感は危険だと告げていた。
もう手遅れだとさえ、告げた。