☆Friend&ship☆ -序章-
「分かったらはい、寝る寝る!」
キングは渋るホセを寝かしつけて笑った。
完璧なる無表情には一点の陰りもない。
ある種の恐怖を覚えながらキングは笑っていた。
「正直に言わないと悪いからさ言うけど、俺、お前が怖い」
表情に変化はない。
ただ、そうか、とかえしただけ。
「でもいっとくけどさ、お前が思ってる意味じゃねえからな」
「どういう意味だ」
どこまでも無がつづく表情に感情はなかった。
それが怖いんだよ、と心の中でキングは毒つく。
今まで、感情を隠している人間なら見てきた。
見抜けた。
でもこいつからは…ない。
広がる“怯え”しかないんだ。
何を思って生きてきたのか分からない。
分からない。
どうしてだろう。
確かにあるはずなのにとキングは何とか探そうとする。
でもない。
何を言っても怒りも、喜びも動揺も。
“瞳は虚ろで光がない。笑えるけどあれは演技だと思う”
そうかもしれない。
「なあ、お前、人生で一回でもいいから思いっきり感情出したことある?」
「当たり前だろう。両親も居たし兄弟も兄と姉が居たからな」
居たんなら今は居ないんだな、と聞こうとしてキングは身を引いた。
“悲しみ”が呼び起こされたと思った。
これ以上は酷だろう。
半ば条件反射の拒否反応を見つけ、諦めた。