☆Friend&ship☆ -序章-
「ヘルメス?」
「………」
「ヒッ!?」
体を酷使していないと頗る機嫌が悪い。
無言の威圧にびくびくしながらヘルメスの近くに腰掛けた。
「そんなに怒るなよ」
「うるさい。どこかに行け」
「ヤダー♪」
それでギュッとホールドしようとすると逃げられた。
正直言ってかなり落ち込んだがゼウスはガックリしたままでいるわけにもいかない。
「なんかあった?」
「ない」
また睨まれてしょんぼりしてしまった。
「ねふい…」
「…」
なんかしかとされたそうな気がしないでもないが、いちいち気にしていると始まらないのでゼウスはキングの条件を聞いてみた。
「1時間ごとに30分以上の休憩。一回の最大継続時間は3時間だと」
とにかく体を酷使することこそ最大の生きがいだと思っているヘルメスに対してこれはかなりの条件だ。
ゼウスはキングに感心した。
「……」
視線を感じてヘルメスを見るとずいぶん顔色が良くなった。
「…」
体は落ち着いたが次は心が不安定らしい。
ゆらゆら揺れる瞳は恐怖と不安に震えていた。
「何だよ」
「そんなの怖がるなって」
「何の話だ」
どこまでも無自覚な副船長にゼウスはため息をついた。