☆Friend&ship☆ -序章-
子供部屋くらいの大きさの氷の部屋は、ひんやりとして心地よい。
「よし、オリオン、入れ墨!!」
「…」
「ごめんなさい」
またもやぺこりと素直なゼウスをしり目に、オリオンは屈んでイーリスの肩をつかんだ。
「…金と、銀か」
左右の目をじいっと見つめるオリオンにゼウスが叫んだ。
「女の子だぞ!もうちょっと遠慮しろ!!」
「…」
オリオンは不本意ながらゼウスの意思少女を押し倒し床に押し付ける。
「何する…」
「やはり、か」
とっさの声で自が出るイーリスにオリオンは冷たく呟いた。
「‟虹元(ニジゲン)”ギリシス・イーリス。
十歳で一人旅する孤独な少女、か?」
「はっ…皮肉るなよ‟冷火”。曇って見える、お前の眼が」
「…っ」
オリオンは慌てて顔をそむける。
イーリスは一瞬だけ‟恐れ”を見て取った。
「入れず」
「殺す」
「ごめんなさい」
イーリスはぎろりと二人を睨んだ。
「お前らウザい」
「なんだと!!」
「…」
怒るゼウスに対しオリオンはどこかうつろな目をしていた。
「…船長がお前に仲間になれと。」
「ウザい」
「わームカつく!!」
「「ウザい」」
「ハモんなばかやろ!!」
相変わらず濁り切った瞳で囁くオリオンとイーリスの声が見事に合う。
「…おい、オリオン?」
ふいに心配そうにオリオンの顔を覗き込むゼウス。
自然なポーカーフェイスを装ってすっとオリオンは顔をそらした。