☆Friend&ship☆ -序章-
「人形、か」
そっと少年はつぶやいた。
それがひどく異質な言葉のように思えてきたから。
「なぁ、今、そいつ何処いる?」
「さぁなぁ!?あんま関わりたくねぇんだよ」
「あ、俺知ってるぞ。こっから慶南西(ノブナンセイ)に5光年くらい行ったところに星賊(セイゾク)の船が停泊しててな、そこのドールだぜ、今は」
「ふうん」
慶というのは方位を示す言葉。
上、の意味だ。
ちなみに、下は晋(シン)。
星賊というのは…
海賊や山賊の銀河バージョン。
…銀河?
…上とかって何?
ごもっともです。
ここは通称デス・プラネット。
宇宙の中心に位置する、巨大なブラックホール。
住人である宇宙族は、普通に船で生活している。←
「そういや、なんでドールが欲しいんだ?」
「ん?あぁ…愚問だろ、そんなの。夢の場所を探すにきまってんじゃん」
「!!」
一瞬静まり返る店内。
ゼウスは面白そうにケタケタ笑って言った。
「なにさ、いいだろ」
「本気か!?そんなもんどこにあるか分からねぇじゃねえか!!」
「命を落とすともいうし…危険だぞ!?」
「そんなことわかってる。だからこそだよ…」
「おい!ゼウス!!」
店を出ていく少年に男は呼び戻そうとするが、すでに彼は去った後だった。