聖夜は恋の雪に埋もれて
 その後、鉄平君のバイト先だというレストラン「グラン・オルロジェ」にて、食事をした。
 告白の後も、変わらず明るく優しい態度の鉄平君。
 その優しさに触れるたび、いずれお断りしなければならないということが、私の胸に重くのしかかってきて、辛かった。

 そして、帰りは、鉄平君が家まで送ってくれることとなった。
 どこまでも優しい。

 やがて、家に到着すると、鉄平君が言った。
「今日は本当にありがとう」
「いえいえ、こちらこそ」
「その……さっきのことだけど、考えといてくれたら嬉しいよ」
 告白のことだろう。
 私は頷いた。
 断るときのことを思うと、胸が痛いけど……。
「それじゃ、な。また明日」
 そう言って手を振る鉄平君。
 私も「またね」と手を振り返すと、家へと入った。
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