聖夜は恋の雪に埋もれて
「あれ? 麗?!」
 私のいるテーブルに近づいてきたのは……。
 鉄平君じゃなく、奏だった!
 驚いたのは私だけじゃなく、奏も同じようだ。
「ええ?! 奏もここでお食事を?!」
 ま、まさか……瑠璃と一緒に?
 今、瑠璃の姿はないけど……後から来るのかも。
「うん、渋宮と一緒に」
 うう……やっぱり、思った通りだ……。
 偶然、同じお店で予約していたのね。

 たしか、そういえば、瑠璃も鉄平君と一緒に、このお店でお食事したことがあったはず。
 バイト帰りの私が、たまたま通りかかって目撃したあの日。
 そうか、それでここのお店を気に入って、奏と一緒に……。
 雰囲気もおしゃれだもんね、ここ。

「麗も渋宮に誘われたんだろ? しかし、渋宮には困ったもんだな。三人で、っていうのなら、事前に伝えといてくれよ。びっくりするだろ……」
「え? 私は……鉄平君と……」
「えっ? 鉄平も?! じゃあ、四人ってことじゃないか!」
 呆れたように言いながら、私の向かいの席に座る奏。
 あれ?!
「え? 奏、このテーブル?」
「うん、17番。渋宮が言ってたから、間違いない」
「じゃ、じゃあ……やっぱり、四人でってことなんだね。鉄平君も17番テーブルって言ってたし」
「午後5時に?」
「う、うん……」
 そっか、やっぱりそうなんだ……。
 でも、なんで、鉄平君は言ってくれなかったんだろ。
 たしか、「二人で」ってはっきり言っていたはず。
 しかも、瑠璃も同じように、奏には「四人で」ってことを内緒にしていたらしいし……鉄平君と瑠璃の考えが、全く読めない。
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