聖夜は恋の雪に埋もれて
 奏は、私をぎゅっと抱きしめてくれた。
 ―――!
 驚きと喜びが大きすぎて、声も出ない。
 こんな風に抱きしめてもらえたのは……三度目のはず。
 おはじき事件の直後、野良犬事件の直後、に次いで三度目……。
 手を繋ぐことすらなくなっていたから、まさかこうしてもらえる日が来るだなんて、夢にも思わなかった。
 私もそっと、奏の広い背中に手を回す。
 雪降る屋外ということもあり、そのぬくもりがはっきりと指に伝わってきた。
「ありがとう……。奏、大好き」
「俺もだよ。ずっと、こうしたかった。もっと早く言えばよかった……ごめん」
「そんな……私こそ」
 少しだけ身体を離した奏は、急にかがんで―――。
 私の唇にキスしてくれた……。
 キスしてもらえたのは……もちろん、初めて。
 私にとってのファースト・キス。
 奏に触れてもらった唇のぬくもりが、愛しい。
 それから、しばらく、私たちはそうして身体を寄せ合い、イルミネーションを見て過ごした。
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