十二月の向日葵









おれはファーストキスではなかったけど、あんなドキドキしたの初めてだったんだよ








だから、美咲が大人になって、もう一度俺の前に現れたとき、おれどういう反応していいかわかんなかった。





だって、お前、綺麗になりすぎだろ。









俺を追いかけて、東京にまで出てきてくれた。








美咲は言った








「あたしの夢変わってないよ。」









「せっかく頑張ってここまで来てたのに、お嫁さんになるのが昔からの夢だったのに。」









その日、はじめておれたちは男女の行為をしたな。








それから同棲を始めた。






同棲っていうか、美咲が行く場所なかったからおれの部屋に泊めてただけなんだけど。







あ、なんかいろいろ思い出してきた。







笑えるな。
















美咲は俺が弾くギターが大好きだった。







おれが弾き始めるとじーっと見て、こっちは弾きづらいったりゃありゃしねえ。









東京進出。







俺の夢だった。









東京で音楽の仕事について、夢は武道館!





なんて、かっこいいこと言っても叶いっこないから、





まあ、想像つくとおりバイトざんまい。








だから、バイトが終わってから、ギターを弾きにいくのが俺にとっての至福の時だった。





美咲は来れる日は毎日来てくれた。





そして、置いてあるギターケースにいつも小銭を投げ入れてくれた。









や、同棲してるんだろって感じだけど。










< 5 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop