十二月の向日葵









そろそろお茶が覚めてきたな。









この時間帯になると美咲はその日の出来事を俺に報告してくれる。










「今日はね、あなたの唄を歌ったら、いい唄ねって褒めてくれたの。

だからあたしね、嬉しくなっちゃってつい泣いちゃった。

そしたらね、頑張ってねってお金も入れてくれたんだよ!

その帰り道にはね、見て、百円拾ったの、落としたの誰だろうね、

あたし今日ついてるのかも!」








嬉しそうに笑う君を俺は本当に好きなんだなって、その度に自覚するんだよ。
















つぎの日





おれは出掛けることにした。








楽器屋に入ると、



《そこの君!今こそ歯ギター!!》




なんてわけのわかんないキャッチコピーのポスターがお招きしてくれた。
(若い頃は歯ギターに憧れてたなんて誰にも言えない秘密だ)






やっぱり、gibsonのレスポールの重さだったり、fenderのストラトのあのなまめかしいボディーだったり、アコギはあの独特の木の香りがたまらない。




好きだよなー。












たぶん、俺って人生の中で大事なものって




美咲と、ギターかな。






たぶんこいつらがいればやっていけるわ









そのとき横にかかってある、ライブのチラシが目に入った。



『君への気持ち オーバードライブ ⚡⚡ 』








どうなってるんだこの店











< 7 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop