ファミリー
1
左肩に冷たい風を感じた。
高森悟(たかもりさとる)は反射的に
肩先に目をやり、視界の端にいるその少年
に気がついた。
ちょうど患者の処置を終え、
仮眠室に戻ろうと歩いている時だった。
左手にはナースステーションがある。
そのドアの前に、一人の子供が背を向けて
立っていた。
頼りないくらい薄い体つきと、ドアレバー
の少し上に顔が来る背たけ。
高森からは茶色っぽい髪と細いうなじしか
見えないが、まだ七、八歳くらいに思えた。
本来なら深夜の内科病棟で見かけるよう
な人影ではない。
高森悟(たかもりさとる)は反射的に
肩先に目をやり、視界の端にいるその少年
に気がついた。
ちょうど患者の処置を終え、
仮眠室に戻ろうと歩いている時だった。
左手にはナースステーションがある。
そのドアの前に、一人の子供が背を向けて
立っていた。
頼りないくらい薄い体つきと、ドアレバー
の少し上に顔が来る背たけ。
高森からは茶色っぽい髪と細いうなじしか
見えないが、まだ七、八歳くらいに思えた。
本来なら深夜の内科病棟で見かけるよう
な人影ではない。