狂気の王と永遠の愛(接吻)を・センスイ編収録
アランとセンスイ
(アラン…?この男が…)
そして腕の中で小さくなっている彼女の様子を見ると…アランとの間に"何か"があるのはやはり間違いないようだ。
「ちょっ…!!なんでアオイ、センスイ先生に抱っこされてるわけ!?」
「授業に遅れてくるなんて二人で何してたの…?」
「センスイ先生ってあんなに優しいっけ…?」
「えー…色仕掛けなんてまるで通用しないって先輩たち嘆いてたよ?」
羨ましすぎる彼女の置かれた状況に、クラスメイトたちはパニック状態にある。
「あいつ…っ!!」
シュウは苦々しく歯ぎしりすると、ズカズカと足音を立ててセンスイの前に立ちふさがった。
「てめぇ…アオイを下ろし…」
「アオイさんはしばらく膝に負担をかけないほうがいいですよ。私の席の後ろに椅子を用意いたしましょう」
「…マジで頭にくる野郎だぜ…」
シュウの言葉がまるで聞こえなかったように無視を決め込むセンスイ。
「……」
(彼女が怪我を…?)
そして彼らのやりとりをさらに視界から除外しているアランは無言のままアオイと包帯に包まれた彼女の膝を見つめている。
やがてセンスイの後方、特別に用意してもらった椅子に座ったアオイは大人しく彼の手元を観察していた。
(お茶の事はよくわからないけれど、この繊細な動作がどれほど素晴らしいものか私にもわかる…)
もはや生きた芸術のようなセンスイの完璧な振る舞いに皆、感嘆のため息をもらした。
「では皆さん、グループに分かれていますね?順番にお茶を点(た)ててみましょう」