狂気の王と永遠の愛(接吻)を・センスイ編収録
センスイの願い
「アオイさんお待たせしました」
にこりと彼女の目の前で座したセンスイは手際よく茶の用意をしていく。
「いえ…私だけ行儀悪くて本当にすみません」
「ふふっ、お気になさらずに」
「私も早く怪我を治して先生に教えていただきたいです」
この短時間の間に二人の間を流れる空気があたたかくなりつつあった。
それはきっと、センスイが必要以上にシュウを嫌がっているわけではないのだとわかったからだろう。
「アオイさんのクラスなら今週末にもう一度、茶道の授業があるはずです。今日お教えできなかった分、次回たっぷり時間取りますので…今は怪我を治す事に専念してくださいね」
「はいっ!ありがとうございますっ」
センスイが点てた抹茶からはほろ苦く良い香りが漂い、茶菓子と共に差し出されたアオイは茶碗を両手で受け取る。
お茶の表面を飾る泡はとてもきめ細かく、彼の洗練された腕前なのだと実感することができた。
アオイはキラキラと瞳を輝かせ、初めて口にする未知の味わいをゆっくり噛みしめながら喉を鳴らす。
―――ゴクリ…
「おいしい…私、お茶ってもっと苦いのかと思っていました。私も練習すれば先生みたいに上手に点てることが出来るようになりますか?」
ぱっと顔をあげたアオイは心から感激している様子で、センスイに気に入られたいなどという下心は微塵も持ち合わせていなかった。
「えぇ、あなたのように美しい心の持ち主ならば尚の事…おいしいお茶が点てられますよ」
クスリと微笑んだセンスイにアオイも笑顔で応える。
「今度、傷の手当をしてくださったお礼をさせてください。本当に治ってしまったんじゃないかってくらい、痛みもなくて…」
「これが私の仕事ですから…何も恩を感じる必要はないのですよ」
彼は今までに何度も親密になりたいと願う女子生徒たちから同じようなアプローチを受け続けていた。しかし、その気がまったくないセンスイは悉(ことごと)くその申し出を断り続けてきたのである。
だが…
「もし、どうしてもというのなら…」
「はいっ!どうしてもです!!」
素直に礼を受けてくれるというセンスイの言葉にアオイは嬉しそうに頷いている。
「怪我が完治したらで構いません。私と学園外で逢ってくださいませんか?」
にこりと彼女の目の前で座したセンスイは手際よく茶の用意をしていく。
「いえ…私だけ行儀悪くて本当にすみません」
「ふふっ、お気になさらずに」
「私も早く怪我を治して先生に教えていただきたいです」
この短時間の間に二人の間を流れる空気があたたかくなりつつあった。
それはきっと、センスイが必要以上にシュウを嫌がっているわけではないのだとわかったからだろう。
「アオイさんのクラスなら今週末にもう一度、茶道の授業があるはずです。今日お教えできなかった分、次回たっぷり時間取りますので…今は怪我を治す事に専念してくださいね」
「はいっ!ありがとうございますっ」
センスイが点てた抹茶からはほろ苦く良い香りが漂い、茶菓子と共に差し出されたアオイは茶碗を両手で受け取る。
お茶の表面を飾る泡はとてもきめ細かく、彼の洗練された腕前なのだと実感することができた。
アオイはキラキラと瞳を輝かせ、初めて口にする未知の味わいをゆっくり噛みしめながら喉を鳴らす。
―――ゴクリ…
「おいしい…私、お茶ってもっと苦いのかと思っていました。私も練習すれば先生みたいに上手に点てることが出来るようになりますか?」
ぱっと顔をあげたアオイは心から感激している様子で、センスイに気に入られたいなどという下心は微塵も持ち合わせていなかった。
「えぇ、あなたのように美しい心の持ち主ならば尚の事…おいしいお茶が点てられますよ」
クスリと微笑んだセンスイにアオイも笑顔で応える。
「今度、傷の手当をしてくださったお礼をさせてください。本当に治ってしまったんじゃないかってくらい、痛みもなくて…」
「これが私の仕事ですから…何も恩を感じる必要はないのですよ」
彼は今までに何度も親密になりたいと願う女子生徒たちから同じようなアプローチを受け続けていた。しかし、その気がまったくないセンスイは悉(ことごと)くその申し出を断り続けてきたのである。
だが…
「もし、どうしてもというのなら…」
「はいっ!どうしてもです!!」
素直に礼を受けてくれるというセンスイの言葉にアオイは嬉しそうに頷いている。
「怪我が完治したらで構いません。私と学園外で逢ってくださいませんか?」