狂気の王と永遠の愛(接吻)を・センスイ編収録
嫉妬の念
(…もう完全にお父様だわ…)
これが悠久の城での事ならアオイは喜んで彼との触れ合いを受け入れる。しかし…
(でも、ここでは人の目があるもの…)
再び皆の記憶を戻されては困る。人体に影響がでるようなものではないが、本来愛する民に使うような力ではないからだ。
「アラン先生、熱心に取り組んでおられましたものね。私も上手に点てられるようになったら是非先生にお茶を…」
必死に話を逸らそうとしたアオイだが、かぶせる様にアランが言葉を発する。
「茶道が好きならば…私たちの家に茶室を作ろうか。奴は気に入らないが、お前があのような着物に袖を通す姿も見てみたい」
包まれた手に力を込められ、アランの妖艶な空色の瞳がアオイを捉えた。
「…っ…」
ドキっと強張るアオイの体。ここ最近たびたび見かけるキュリオの"男の目"だった。
彼はアオイから注がれる自分への愛情が薄くなったと実感してしまうと、突発的に愛に飢えた獣のようになる事がある。
―――…一時期、カイやアレスと遊ぶことが楽しくてしょうがないアオイにキュリオは寂しさを覚えていた。
そしてその事に気が付かない彼女は、どんどんキュリオと過ごす時間をなくしてしまっていたのだ。
『アオイ、最近ひとりで眠っているのかい?』
夜な夜な父親であるキュリオの寝室を訪れていたはずのアオイだが、数日前からぱたりと来なくなってしまったのを不思議に思っていたキュリオ。
『ううん、カイと一緒にお部屋で寝ているの。お話がおもしろくて、ついそのまま二人で眠ってしまって…』
その光景を思い出し、楽しそうに語りかける可愛い娘の笑顔に沸々と湧き上がる…どす黒い嫉妬の念。
『…そうか』
『夕食が終わったら…アオイ一人で私の部屋においで』
『はい、わかりました。お父様』
何も疑わぬアオイ。
そして夕食のあといちど自室に戻った少女。
(今日はカイとどんなお話をしようかな?
またこっそり抜け出して聖獣の森に遊びにいくのも楽しそうっっ)
期待に高鳴る胸をそっと抑えながらも、そのワクワク感が顔に出てしまう幼いアオイ。
二つの枕をベッドに並べ、お出かけようの厚手の上着をクローゼットから一着取り出してきた。
『うんっ、夜の準備はこれで大丈夫っ!』
ポンと手を叩いたアオイ。
すると…
―――コン…
一度だけ軽く扉をノックされ、
『はいっ』
と振り返った視線の先にいたのは…
すでに室内におり、腕組みしながら扉に背を預けていたキュリオだった―――
これが悠久の城での事ならアオイは喜んで彼との触れ合いを受け入れる。しかし…
(でも、ここでは人の目があるもの…)
再び皆の記憶を戻されては困る。人体に影響がでるようなものではないが、本来愛する民に使うような力ではないからだ。
「アラン先生、熱心に取り組んでおられましたものね。私も上手に点てられるようになったら是非先生にお茶を…」
必死に話を逸らそうとしたアオイだが、かぶせる様にアランが言葉を発する。
「茶道が好きならば…私たちの家に茶室を作ろうか。奴は気に入らないが、お前があのような着物に袖を通す姿も見てみたい」
包まれた手に力を込められ、アランの妖艶な空色の瞳がアオイを捉えた。
「…っ…」
ドキっと強張るアオイの体。ここ最近たびたび見かけるキュリオの"男の目"だった。
彼はアオイから注がれる自分への愛情が薄くなったと実感してしまうと、突発的に愛に飢えた獣のようになる事がある。
―――…一時期、カイやアレスと遊ぶことが楽しくてしょうがないアオイにキュリオは寂しさを覚えていた。
そしてその事に気が付かない彼女は、どんどんキュリオと過ごす時間をなくしてしまっていたのだ。
『アオイ、最近ひとりで眠っているのかい?』
夜な夜な父親であるキュリオの寝室を訪れていたはずのアオイだが、数日前からぱたりと来なくなってしまったのを不思議に思っていたキュリオ。
『ううん、カイと一緒にお部屋で寝ているの。お話がおもしろくて、ついそのまま二人で眠ってしまって…』
その光景を思い出し、楽しそうに語りかける可愛い娘の笑顔に沸々と湧き上がる…どす黒い嫉妬の念。
『…そうか』
『夕食が終わったら…アオイ一人で私の部屋においで』
『はい、わかりました。お父様』
何も疑わぬアオイ。
そして夕食のあといちど自室に戻った少女。
(今日はカイとどんなお話をしようかな?
またこっそり抜け出して聖獣の森に遊びにいくのも楽しそうっっ)
期待に高鳴る胸をそっと抑えながらも、そのワクワク感が顔に出てしまう幼いアオイ。
二つの枕をベッドに並べ、お出かけようの厚手の上着をクローゼットから一着取り出してきた。
『うんっ、夜の準備はこれで大丈夫っ!』
ポンと手を叩いたアオイ。
すると…
―――コン…
一度だけ軽く扉をノックされ、
『はいっ』
と振り返った視線の先にいたのは…
すでに室内におり、腕組みしながら扉に背を預けていたキュリオだった―――