狂気の王と永遠の愛(接吻)を・センスイ編収録

体を這う…王の唇

『そ、そんな事っ…いっても…っ!!』


一方は容姿端麗で輝く美貌を誇るキュリオ。そしてもう一方は…色気もなく幼児体型の抜けきらない平凡なアオイ。


(…お父様は完璧なご自分の姿を毎日見ているんだもの…っ!私の体を見たら笑うに決まってるっっ!!)


『…いやっ!!やめてお父様…っ…』


羞恥にさらされ、涙を浮かべるアオイにキュリオは…無言のまま彼女の肩に置いた手をピタリと止めた。


『……』


不安そうにこちらを見つめるアオイの瞳。
すると…それを見たキュリオの美しい空色の瞳が、悲しそうに闇の色に満ちていくのがわかった。


(そんな顔をしないで…)


チクリと傷んだアオイの心。


それから、小さくため息をついたキュリオは前髪をかき上げながら上体を起こしていく。

アオイの上に覆いかぶさり、その身を拘束していた彼の重みが徐々に遠のいていき…



『…ごめんなさいお父様…でも、お父様が心配なさるような事は本当になにも…』



安堵し、ふっと体の力を抜いたアオイだが―――



『…私は体の力を抜きなさいと言ったんだ…そう、それでいい…』



『…っ…!?』



アオイがその言葉の意味に気付く一瞬の間…胸元を押さえていた両腕は掴まれ、勢いよく体を反転させられる。


ボタンがはずされた事により露わになってしまったアオイの両肩が、さらに露出度を高めていった。


『…本当にお願い…っ…もうやめてっ!』


涙声で懇願するアオイの言葉にようやく反応したキュリオは不思議そうに彼女へと問う。


『…何をそんなに嫌がっているんだい?私に体を見られるのが恥ずかしい?』


『…はい…っ恥ずかしくて…私、死んでしまいそう…っ…』


(…怖がらせてしまったか…)


消え入りそうな声でシーツを握りしめるアオイの手が小刻みに震えている。キュリオはそんな彼女の不安を和らげるように優しく手を包み握りしめた。



『それなら…私は目を閉じていよう。ただ…』



『…?…』



思いがけないキュリオの一言にアオイは背後の彼をわずかに振り返った。



『…この唇でお前のぬくもりを感じる事は許しておくれ…』



キュリオのこの言葉を皮切りに…
銀髪の王の唇がアオイの全身を這い、跡が付かぬ程度に蒸気した肌を吸い上げていく。


時折、濡れたアオイの嬌声が上がると…



『…アオイ…』



囁くように名前を呼ばれ、背後からそっと顔に顔を寄せてくるキュリオの仕草がたまらなく愛おしかった―――

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