狂気の王と永遠の愛(接吻)を・センスイ編収録
見破られた正体Ⅱ
「い、いえ…私は…」
嘘をついている自覚のあるアオイの心音はバクバクと異音を奏で始める。
(どうしてセンスイ先生が…その事を…)
真っ直ぐにこちらを見つめてくる彼の瞳は、アオイの細やかな反応も見逃すまいと注視しているのがわかる。
『悠久の王に仕える"魔導師・アレス"殿に敬称をつけないという事は…彼の身内か…それとも…』
『"お父様"がよほど偉大な方なのか…ですよね?』
「ごめん…ミキ、ちょっと先生たちに大事な話があるから…」
大事な親友と目も合わせず、アオイは彼女に退席を求めた。
「…え…?わ、わかった…」
わずかに目を見開き、しかし…何かを感じ取ったミキは小さく頷くと、急いでその場を後にした。
「…?」
ミキに興味のないアランだが、慌てて立ち去る彼女を見て異変に気付いたようだ。
(私、また同じ事を…ごめんね、ミキ…)
彼女の期待を二度も裏切り、アオイの心はミキに対する申し訳なさでいっぱいだった。
しかし、今傷心している場合ではない。
すぐに目の前のセンスイと向き合わなくてはならないのだ。
『…流石はアオイさん。懸命な判断だと思いますよ』
駆けていくミキの背中を見送りながらセンスイが感心したように呟いた。