狂気の王と永遠の愛(接吻)を・センスイ編収録
激突!キュリオVSセンスイ Ⅱ
―――だが、時すでに遅く…神剣はその神々しい姿を完全に現そうとしていた。
「案ずるなアオイ…奴はただの人間ではない」
「ふふっ…本当にお優しいですねアオイさん。貴方のそういうところに私は惹かれたのかもしれません」
桁外れの力を前に、それでもセンスイは浮かべた余裕の笑みを絶やすことはなかった。
(…どうしてセンスイ先生平気なの…?)
彼が王であるかもしれないし、そうでないかもしれない。
しかし…五大国すべての王は健在で、彼が就任する王座など存在していないはずなのだ。
(でも…お父様の術を受けていなかったって…なぜ…)
どんなに考えても、何かが引っかかっている。そして腑に落ちないのはアランも同じだった。
「―――王の神髄は神具にあり…」
「…術を受けなかったからと言って…貴様にこの神剣の一撃、耐えることが出来るか?」
(奴が王であるか否か…これではっきりわかる)
「…五百年を越えるという悠久の王…」
「かつての<雷帝>に比べれば大したことなさそうですね…」
「…かつての<雷帝>?」
彼の言葉に呟いたアオイは見逃さなかった。一瞬、視線を下げ…悔しそうにその拳を握りしめていたセンスイの姿を…。
(…センスイ先生、どうしてそんな顔…)
ズキン…
覚えがないはずのセンスイの表情に、なぜか痛んだアオイの心。
「センスイ先生…」
ふらりと一歩踏み出したアオイに気づいたセンスイは、驚いたような表情をこちらに向けている。
「アオイさん貴方はどこまでも不思議な方だ…父上と対峙している私に心を寄せようというのですか?」
言い終えたセンスイが心底嬉しそうに微笑んだ…その時―――
「…っ貴様がアオイの名を口にするなっっ!!!」
怒りのままに踏み出したアランの力を受けた地面が大きく抉(えぐ)り削り取られている。爆風を纏い、流星さながらに煌めく神剣が光の速さでセンスイの頭上から振り落とされる―――
「やめて…っ!!」
―――ガキィィンッッ!!
手を伸ばしたアオイの先で、容赦のないアランの力が炸裂した―――