狂気の王と永遠の愛(接吻)を・センスイ編収録
ひとりきりの帰り道
―――刻(とき)はすでに夕暮れ。若葉色の優しい雰囲気を漂わせた木々の影が、城へと続くこの道に黒塗りの絨毯を広げ始める。
アオイは横へと伸びる己の影を従えながら、ずっと俯いたままだ。
(センスイ先生、大切な人いるんだ…)
"…あの方以外はすべて…私たちには不要なものでした"
冷たく拒絶する彼の瞳を思いだし、言いようのない悲しみがアオイの心を支配している。あれほど美しい殿方に恋人がいるのは、むしろ当たり前と言ったところか。
「…どうして私こんなに寂しがっているんだろ…」
アオイは小さくため息をつくと、今度は後に現れたもう一人の青年の姿を思い浮かべる。
(先生と一緒にいたあの人、クジョウさんって言ったっけ)
「お父様の神剣を受け止めた人…初めてみた」
そして彼の美しい紫水晶(アメジスト)の瞳は、感情など遥か昔に捨て去ったような…そんな悲しい色を宿していた。
「お二人ともあのままどこかへ行ってしまったけれど…」
(センスイ先生…明日学校に来るかな…)
橙に染まる西の空を見上げながら、早く明日の日が登ればいいとアオイは静かに祈っている。
アオイは横へと伸びる己の影を従えながら、ずっと俯いたままだ。
(センスイ先生、大切な人いるんだ…)
"…あの方以外はすべて…私たちには不要なものでした"
冷たく拒絶する彼の瞳を思いだし、言いようのない悲しみがアオイの心を支配している。あれほど美しい殿方に恋人がいるのは、むしろ当たり前と言ったところか。
「…どうして私こんなに寂しがっているんだろ…」
アオイは小さくため息をつくと、今度は後に現れたもう一人の青年の姿を思い浮かべる。
(先生と一緒にいたあの人、クジョウさんって言ったっけ)
「お父様の神剣を受け止めた人…初めてみた」
そして彼の美しい紫水晶(アメジスト)の瞳は、感情など遥か昔に捨て去ったような…そんな悲しい色を宿していた。
「お二人ともあのままどこかへ行ってしまったけれど…」
(センスイ先生…明日学校に来るかな…)
橙に染まる西の空を見上げながら、早く明日の日が登ればいいとアオイは静かに祈っている。