狂気の王と永遠の愛(接吻)を・センスイ編収録
アレスの願いとアオイの心Ⅰ
トボトボと門をくぐり、黄金色に染まる花の道をしばらく歩き…
「…ただいま」
アオイの沈んだ声が響くと、一階の天井まで届きそうなほど巨大な扉が音を立ててゆっくり開いていく。
「おかえりなさいませっ!アオイ姫様!!」
足を踏み入れたところに数十人の女官や侍女が両脇に列をつくってならび、いつものようにあふれる優しい笑顔で迎い出てくれた。
そして彼女らの奥に佇むのは、アオイ付きとして馴染みのあるアレスだった。
彼がアオイに寄り添うのを見届けた女官や侍女たちは一礼して下がっていく。
「アオイ様、本日も一日お疲れ様でした。学校は間に合いましたか?」
「……」
通学用の鞄と、結局口にする事のなかった弁当を受け取ろうとする魔導師の彼だが、俯いたままのアオイは自室へと続く広い階段を無言のまま進んでいく。
「カイが悔やんでいました。ジル様のお弁当を渡しそびれたって」
「……」
にこやかに話しかけてくるアレスだが無言を貫くアオイ。おそらく今朝の一部始終をカイからでも聞いたのだろう。アランの事も知っているのだろうか…?
「…アオイ様?…」
反応のないアオイに諦めたのか…話は変わり…教育係の彼としての意見がポツリポツリと口ずさまれていく。アレスはやはりキュリオと同じ考えのようで…
「…学習の場は違えど、アオイ様には私がついております。これまで通り城で学ばれてはいかがです?」
半ば、アレスの願望が入り混じった発言だった。そしてその意図をこの姫が汲み取ってくれないかと、顔を覗き込み、視線を合わせてくる。
「…友達が出来たの」
やっと口を開いたアオイだが、アレスは首を傾げている。
「…それは素晴らしい事ですが…」
「…ただいま」
アオイの沈んだ声が響くと、一階の天井まで届きそうなほど巨大な扉が音を立ててゆっくり開いていく。
「おかえりなさいませっ!アオイ姫様!!」
足を踏み入れたところに数十人の女官や侍女が両脇に列をつくってならび、いつものようにあふれる優しい笑顔で迎い出てくれた。
そして彼女らの奥に佇むのは、アオイ付きとして馴染みのあるアレスだった。
彼がアオイに寄り添うのを見届けた女官や侍女たちは一礼して下がっていく。
「アオイ様、本日も一日お疲れ様でした。学校は間に合いましたか?」
「……」
通学用の鞄と、結局口にする事のなかった弁当を受け取ろうとする魔導師の彼だが、俯いたままのアオイは自室へと続く広い階段を無言のまま進んでいく。
「カイが悔やんでいました。ジル様のお弁当を渡しそびれたって」
「……」
にこやかに話しかけてくるアレスだが無言を貫くアオイ。おそらく今朝の一部始終をカイからでも聞いたのだろう。アランの事も知っているのだろうか…?
「…アオイ様?…」
反応のないアオイに諦めたのか…話は変わり…教育係の彼としての意見がポツリポツリと口ずさまれていく。アレスはやはりキュリオと同じ考えのようで…
「…学習の場は違えど、アオイ様には私がついております。これまで通り城で学ばれてはいかがです?」
半ば、アレスの願望が入り混じった発言だった。そしてその意図をこの姫が汲み取ってくれないかと、顔を覗き込み、視線を合わせてくる。
「…友達が出来たの」
やっと口を開いたアオイだが、アレスは首を傾げている。
「…それは素晴らしい事ですが…」