狂気の王と永遠の愛(接吻)を・センスイ編収録
センスイの決断Ⅰ
―――腹の底に響くような激しい雷鳴の音がこだまする中、着物を纏った美しい青年が本来の役目を終えて姿を現した。
「センスイ!お前最近どこほっつき歩いてんだよ!!」
深海を思わせる蒼い短髪の少年がズカズカと足を踏み鳴らしながら近づいてくる。
「…すみません、ただいま戻りました」
「あのなぁっ!出かけるのが悪いなんて言わねぇけどさ!!毎日毎日何時間留守してんだよ!!」
「……」
彼の行先がわかっていないらしい少年に無言を貫くセンスイ。
すると少年の背後から現れたもう一人の青年。
「…センスイ、ちょっといいか」
「…はい」
「お、おいっ!俺の話はまだ終わってないんだぞっ!?」
両手をバタつかせ、納得がいかないと言わんばかりに暴れる彼を二人は無視して別室へと移動する。
そして移動した先は…センスイの自室から近い、水鏡のある場所だった。
「…っ…」
ハッと先を歩く青年の顔を見つめるセンスイ。
水鏡は、とある場所をうつしたまま動く気配はない。
「…クジョウがお前を探し出せた理由がわかるな?」
藤色の髪を高く結った青年が振り返り、険しい表情を向けてくる。
「…バレてしまいましたか」
諦めたように目を閉じて薄笑いを浮かべるセンスイ。
「…民の不安を煽るな。どれだけお前の名が叫ばれていたと思っている」
「……」
「俺の言いたい事がわかるか?」
責めるような彼の鋭い眼差しがセンスイの横顔をとらえる。
「……」
何かを考えるようにセンスイは窓の外へと目を向けたまま、口を開こうとしない。
"…包帯、ご自分で取り替えたりなさいませんように。明日も空き時間にお待ちしております"
"アオイさんのクラスなら今週末にもう一度、茶道の授業があるはずです。今日お教えできなかった分、次回たっぷり時間取りますので…今は怪我を治す事に専念してくださいね"
「…わかっています。ただ…もう少し時間をいただけませんか…」
「あぁ、わかった…」
そう言い残した藤色の髪を持つ青年は頷いて一人立ち去る。
「……」
ひとまず、目の前の彼を説得したセンスイはアオイとの約束を思い浮かべていた。
「…私にはもう時間がないようです。アオイさん…」
そう言い残したセンスイは、またどこかへと消え去ってしまったのだった―――
「センスイ!お前最近どこほっつき歩いてんだよ!!」
深海を思わせる蒼い短髪の少年がズカズカと足を踏み鳴らしながら近づいてくる。
「…すみません、ただいま戻りました」
「あのなぁっ!出かけるのが悪いなんて言わねぇけどさ!!毎日毎日何時間留守してんだよ!!」
「……」
彼の行先がわかっていないらしい少年に無言を貫くセンスイ。
すると少年の背後から現れたもう一人の青年。
「…センスイ、ちょっといいか」
「…はい」
「お、おいっ!俺の話はまだ終わってないんだぞっ!?」
両手をバタつかせ、納得がいかないと言わんばかりに暴れる彼を二人は無視して別室へと移動する。
そして移動した先は…センスイの自室から近い、水鏡のある場所だった。
「…っ…」
ハッと先を歩く青年の顔を見つめるセンスイ。
水鏡は、とある場所をうつしたまま動く気配はない。
「…クジョウがお前を探し出せた理由がわかるな?」
藤色の髪を高く結った青年が振り返り、険しい表情を向けてくる。
「…バレてしまいましたか」
諦めたように目を閉じて薄笑いを浮かべるセンスイ。
「…民の不安を煽るな。どれだけお前の名が叫ばれていたと思っている」
「……」
「俺の言いたい事がわかるか?」
責めるような彼の鋭い眼差しがセンスイの横顔をとらえる。
「……」
何かを考えるようにセンスイは窓の外へと目を向けたまま、口を開こうとしない。
"…包帯、ご自分で取り替えたりなさいませんように。明日も空き時間にお待ちしております"
"アオイさんのクラスなら今週末にもう一度、茶道の授業があるはずです。今日お教えできなかった分、次回たっぷり時間取りますので…今は怪我を治す事に専念してくださいね"
「…わかっています。ただ…もう少し時間をいただけませんか…」
「あぁ、わかった…」
そう言い残した藤色の髪を持つ青年は頷いて一人立ち去る。
「……」
ひとまず、目の前の彼を説得したセンスイはアオイとの約束を思い浮かべていた。
「…私にはもう時間がないようです。アオイさん…」
そう言い残したセンスイは、またどこかへと消え去ってしまったのだった―――