狂気の王と永遠の愛(接吻)を・センスイ編収録
センスイとアオイ…近づく距離Ⅱ
外へと続く扉が視界に入り、(もう少しでセンスイ先生に会える…)と、足に力を入れたアオイだったが…扉の前に立ちはだかる体格のよい兵士たちに視界を遮られてしまった。
「そこを通して…っ…」
迫りくる家臣や女官たちの足音を背後に気にしながら、息を弾ませてその場に留まるアオイ。
「アオイ様、とうに日は沈んでおります。どうか部屋にお戻りください。我々は常日頃キュリオ様よりそう仰せつかっておりますので、ここをお通しするわけには参りません」
融通の利かない堅物な印象の男が二人、仁王立ちでアオイの前に立ちふさがった。
「お願い、すぐ戻るから…っ!!」
(お父様が帰ってきたら絶対出してもらえない…今しかないのにっ…!!)
必死に懇願するアオイだったが、その声は無常にも聞き入れられなかった。
「なりません姫様。キュリオ様の想いをどうぞご理解ください」
深く頭を下げながらも、一向に理解を示そうとしない彼らの言動にアオイの手は怒りに震えていった。
「…私はいつまでたっても子供なの?」
ようやく追い付いてきた家臣や女官たちの息遣いがすぐ傍で聞こえる。
「姫様…」
すると、心配そうに近寄ったひとりの女官が慰めるようにそっとアオイの肩へと手を伸ばした。
―――パシッ
「…触らないで」
勢いよく彼女の手を振り払ったアオイ。
「…も、申し訳ございません…っ…」
乾いた音が空気を弾き、突如張りつめた緊張感。そして拒絶された女官は怯(ひる)んで後ずさる。
怒りが収まらないアオイは拳をぎゅっと握りしめ、力いっぱい叫んだ。
「―――…っ皆のわからずやっ!!!大っ嫌いっっ―――…!!」
すると…まるで受け入れられないアオイの悲痛な心の叫びに呼応するかのように…
―――ギィィイ…
重厚な音が響き、月の光がその隙間から流れ込んできた。そして…
「…私もわからずやは大嫌いです。気が合いますねアオイさん」
上品で透明感のある声に、一瞬…兵士や家臣たちの警戒を逃れるが…ハッとした数十人の眼差しが一点に集中し、侵入してきた人物へと一斉に刃を向けた。
「…何者だっ!!」
ギラリとした切っ先を向けられながらも、涼しげな笑みを浮かべた彼は変わらぬ口調でこう答えた。
「こんばんは皆さん…私の名はセンスイ…」
「…あなた方の大事な姫君を…」
「頂きに参りました」
「そこを通して…っ…」
迫りくる家臣や女官たちの足音を背後に気にしながら、息を弾ませてその場に留まるアオイ。
「アオイ様、とうに日は沈んでおります。どうか部屋にお戻りください。我々は常日頃キュリオ様よりそう仰せつかっておりますので、ここをお通しするわけには参りません」
融通の利かない堅物な印象の男が二人、仁王立ちでアオイの前に立ちふさがった。
「お願い、すぐ戻るから…っ!!」
(お父様が帰ってきたら絶対出してもらえない…今しかないのにっ…!!)
必死に懇願するアオイだったが、その声は無常にも聞き入れられなかった。
「なりません姫様。キュリオ様の想いをどうぞご理解ください」
深く頭を下げながらも、一向に理解を示そうとしない彼らの言動にアオイの手は怒りに震えていった。
「…私はいつまでたっても子供なの?」
ようやく追い付いてきた家臣や女官たちの息遣いがすぐ傍で聞こえる。
「姫様…」
すると、心配そうに近寄ったひとりの女官が慰めるようにそっとアオイの肩へと手を伸ばした。
―――パシッ
「…触らないで」
勢いよく彼女の手を振り払ったアオイ。
「…も、申し訳ございません…っ…」
乾いた音が空気を弾き、突如張りつめた緊張感。そして拒絶された女官は怯(ひる)んで後ずさる。
怒りが収まらないアオイは拳をぎゅっと握りしめ、力いっぱい叫んだ。
「―――…っ皆のわからずやっ!!!大っ嫌いっっ―――…!!」
すると…まるで受け入れられないアオイの悲痛な心の叫びに呼応するかのように…
―――ギィィイ…
重厚な音が響き、月の光がその隙間から流れ込んできた。そして…
「…私もわからずやは大嫌いです。気が合いますねアオイさん」
上品で透明感のある声に、一瞬…兵士や家臣たちの警戒を逃れるが…ハッとした数十人の眼差しが一点に集中し、侵入してきた人物へと一斉に刃を向けた。
「…何者だっ!!」
ギラリとした切っ先を向けられながらも、涼しげな笑みを浮かべた彼は変わらぬ口調でこう答えた。
「こんばんは皆さん…私の名はセンスイ…」
「…あなた方の大事な姫君を…」
「頂きに参りました」