狂気の王と永遠の愛(接吻)を・センスイ編収録
センスイ~超越した力~
「あいつ…何する気だ…?」
アオイに呼び止められ、足を止めてしまったカイは目の前に立つセンスイの行動に目を見張っている。
やがて…
光が大剣の切っ先までを覆い尽くすと、それまで流れていた風が逆流するようにセンスイの周りを取り囲み始めた。
「その程度の力で姫君を守ろうなどという妄想は…捨てたほうがいい」
逆手に持った剣をゆるやかに振り下ろしたセンスイ。
―――パァンッ
彼の両足に巻き付いていたアレスの戒めの鎖が、光を纏った大剣によってバラバラに砕かれていく―――
「…アレスの術がっ!!」
砕かれ、飛び散った鎖の粒子がセンスイの冷たい美しさを一層引き立たせ…怯んだカイはアオイを背にかばいながら剣を持つ手に力を込めた。
「お下がりくださいアオイ姫様!!」
緊張に張りつめた声を上げ、剣を構えたカイと、新たに術式を発動しようとするアレス。
「これだけ力の差を見せつけられて、まだやるおつもりですか?」
スッと大剣を払ったセンスイの動きは残像さえ見えてしまうほどに素早く、剣を満たしているその輝きはさらに強くなっていく。
痛いほどに感じるセンスイの凄まじいオーラ。そしてそれは百戦錬磨の戦士などというものではない。人間の力を超越した次元にいる者…それはまさしく王と呼ばれるキュリオらと同等の領域にいるものの輝きだった。
(…誰が何と言おうと俺は姫様を守る剣士だ…っ!!)
「キュリオ様がいない今…アオイ姫様をお守り出来るのは俺たちだけなんだっ!!!」
大きく踏み出したカイはセンスイにも負けぬ気迫で彼との間合いを詰める。
その時―――…
「ガーラント先生っ!!」
大魔導師の名を叫ぶアレスの声が響いた。騒ぎを聞きつけた家臣のひとりが魔導師の塔へ彼を呼びに向かっていたのである。
「姫様はご無事かっ!?」
大魔導師の声にハッと振り返るアオイは嫌な汗を滲ませる。
(ガーラントまで…誰も傷ついて欲しくない…私はただセンスイ先生と話がしたいだけなのに…)
「ガーラント…?」
記憶を辿るように呟いたセンスイの瞳が、声の上がった方向を見つめ…一瞬カイから注意を反らしてしまった。
すると…
「俺が相手だからって油断しすぎだぜアンタッ!!」
「…っ…」
大きく目を見開いたセンスイ。ダルドに生成されたカイの剣が獲物を捕らえた狼の牙のように襲いかかる。
しかし…
ヒラリと蝶が舞うように、真っ白な何かが二人の間に割って入った。
「センスイ先生っ!!」
「アオイ…さん?」
大きく両手を広げたアオイの細腕がしっかりとセンスイの体を抱きしめ、彼の手から大剣が滑り落ちる。
―――カランカラン…
驚きが徐々に嬉しさへと変化していくセンスイの心。瞳にはうっすらと涙を浮かべ、彼の両腕がアオイの小さな体を抱きしめる。そして…彼はあまりの愛しさにアオイへと頬を寄せた。
「私を…選んでくださるのですか?」
アオイに呼び止められ、足を止めてしまったカイは目の前に立つセンスイの行動に目を見張っている。
やがて…
光が大剣の切っ先までを覆い尽くすと、それまで流れていた風が逆流するようにセンスイの周りを取り囲み始めた。
「その程度の力で姫君を守ろうなどという妄想は…捨てたほうがいい」
逆手に持った剣をゆるやかに振り下ろしたセンスイ。
―――パァンッ
彼の両足に巻き付いていたアレスの戒めの鎖が、光を纏った大剣によってバラバラに砕かれていく―――
「…アレスの術がっ!!」
砕かれ、飛び散った鎖の粒子がセンスイの冷たい美しさを一層引き立たせ…怯んだカイはアオイを背にかばいながら剣を持つ手に力を込めた。
「お下がりくださいアオイ姫様!!」
緊張に張りつめた声を上げ、剣を構えたカイと、新たに術式を発動しようとするアレス。
「これだけ力の差を見せつけられて、まだやるおつもりですか?」
スッと大剣を払ったセンスイの動きは残像さえ見えてしまうほどに素早く、剣を満たしているその輝きはさらに強くなっていく。
痛いほどに感じるセンスイの凄まじいオーラ。そしてそれは百戦錬磨の戦士などというものではない。人間の力を超越した次元にいる者…それはまさしく王と呼ばれるキュリオらと同等の領域にいるものの輝きだった。
(…誰が何と言おうと俺は姫様を守る剣士だ…っ!!)
「キュリオ様がいない今…アオイ姫様をお守り出来るのは俺たちだけなんだっ!!!」
大きく踏み出したカイはセンスイにも負けぬ気迫で彼との間合いを詰める。
その時―――…
「ガーラント先生っ!!」
大魔導師の名を叫ぶアレスの声が響いた。騒ぎを聞きつけた家臣のひとりが魔導師の塔へ彼を呼びに向かっていたのである。
「姫様はご無事かっ!?」
大魔導師の声にハッと振り返るアオイは嫌な汗を滲ませる。
(ガーラントまで…誰も傷ついて欲しくない…私はただセンスイ先生と話がしたいだけなのに…)
「ガーラント…?」
記憶を辿るように呟いたセンスイの瞳が、声の上がった方向を見つめ…一瞬カイから注意を反らしてしまった。
すると…
「俺が相手だからって油断しすぎだぜアンタッ!!」
「…っ…」
大きく目を見開いたセンスイ。ダルドに生成されたカイの剣が獲物を捕らえた狼の牙のように襲いかかる。
しかし…
ヒラリと蝶が舞うように、真っ白な何かが二人の間に割って入った。
「センスイ先生っ!!」
「アオイ…さん?」
大きく両手を広げたアオイの細腕がしっかりとセンスイの体を抱きしめ、彼の手から大剣が滑り落ちる。
―――カランカラン…
驚きが徐々に嬉しさへと変化していくセンスイの心。瞳にはうっすらと涙を浮かべ、彼の両腕がアオイの小さな体を抱きしめる。そして…彼はあまりの愛しさにアオイへと頬を寄せた。
「私を…選んでくださるのですか?」