狂気の王と永遠の愛(接吻)を・センスイ編収録
アオイの選択
「今は…そう捉えて下さって構いません…」
センスイの腕に包まれながらそう答えたアオイ。
すると、己の体を抱く彼の腕に力がこもり…それはやがて震え、泣いているのがわかった。そして痛いほど伝わってくる…彼が抱えている途方もない"何か"―――。
(センスイ先生…とても優しくて…)
(…悲しいひと…)
(あなたを知ろうとすればする程に見えてくる…心の奥底に秘めた……苦しい想い―――…)
「えぇ、それだけで十分です…」
今までに見た事のないような優しい微笑みを浮かべるセンスイ。そして…笑った彼の瞳から零れ落ちた涙。アオイを抱きしめていた腕を解き、幸せそうに微笑んだセンスイがこちらへと手を伸ばしてきた。
「さぁ…参りましょうアオイさん」
「…はい」
(…センスイ先生の心、限界なんだ…)
浮かんでは消える、これまでのセンスイの痛々しい横顔。常に何かを我慢して…懸命に自分を押し殺しているような印象を受けた。
"私はアオイさんと仲良くなりたいんです"
"…お前にはもっと大切な者があるのではないか…"
"…それは…"
"……"
(…誰かと仲良くしちゃいけないなんて…そんな事、絶対にない)
互いに伸ばされた手をしっかり握りしめたセンスイとアオイ。
すると…
「行かせるかっ!!」
カイが剣を勢いよく振り上げ、センスイに向かって突き進んでくる。
「…カイッ!!早まるなっ!!姫様を傷つけてはならんっっ!!」
ガーラントの静止する声にも耳を貸さず、熱くなったカイは怒りのままにセンスイの頭上へと剣の身を振り下ろした。
「…私の目的は果たしました。これ以上の長居は無用ですね」
まるでカイの存在を無視したかのようにアオイへと笑顔を向けるセンスイ。
「―――その手を離せっ!!!」
「それでは皆さん…御機嫌よう」
センスイはカイの攻撃を軽く交わしながら悠久の家臣たちを振り返り、口元に薄い笑みを浮かべる。そして彼はすぐにアオイへと向き直ると、彼女の体をふわりと抱え…城の外へと飛び出した。
「アオイさん…」
降り注ぐ月の光を浴びながら腕の中のアオイを見つめ、幸せそうに微笑むセンスイ。その遥か後方では…
「…っ!!姫様っっ!!!」
悲痛な声をあげ、見えなくなりつつある二人の姿を必死に追いかけているいくつもの影。
「……」
(ごめんなさいカイ、皆…)
(…お願い、時間をちょうだい…)
親しい者を裏切ってしまった罪悪感と胸の痛みに押しつぶされそうになりながら…わずかな望みをかけて、センスイの肩へと顔をうずめたアオイだった―――
センスイの腕に包まれながらそう答えたアオイ。
すると、己の体を抱く彼の腕に力がこもり…それはやがて震え、泣いているのがわかった。そして痛いほど伝わってくる…彼が抱えている途方もない"何か"―――。
(センスイ先生…とても優しくて…)
(…悲しいひと…)
(あなたを知ろうとすればする程に見えてくる…心の奥底に秘めた……苦しい想い―――…)
「えぇ、それだけで十分です…」
今までに見た事のないような優しい微笑みを浮かべるセンスイ。そして…笑った彼の瞳から零れ落ちた涙。アオイを抱きしめていた腕を解き、幸せそうに微笑んだセンスイがこちらへと手を伸ばしてきた。
「さぁ…参りましょうアオイさん」
「…はい」
(…センスイ先生の心、限界なんだ…)
浮かんでは消える、これまでのセンスイの痛々しい横顔。常に何かを我慢して…懸命に自分を押し殺しているような印象を受けた。
"私はアオイさんと仲良くなりたいんです"
"…お前にはもっと大切な者があるのではないか…"
"…それは…"
"……"
(…誰かと仲良くしちゃいけないなんて…そんな事、絶対にない)
互いに伸ばされた手をしっかり握りしめたセンスイとアオイ。
すると…
「行かせるかっ!!」
カイが剣を勢いよく振り上げ、センスイに向かって突き進んでくる。
「…カイッ!!早まるなっ!!姫様を傷つけてはならんっっ!!」
ガーラントの静止する声にも耳を貸さず、熱くなったカイは怒りのままにセンスイの頭上へと剣の身を振り下ろした。
「…私の目的は果たしました。これ以上の長居は無用ですね」
まるでカイの存在を無視したかのようにアオイへと笑顔を向けるセンスイ。
「―――その手を離せっ!!!」
「それでは皆さん…御機嫌よう」
センスイはカイの攻撃を軽く交わしながら悠久の家臣たちを振り返り、口元に薄い笑みを浮かべる。そして彼はすぐにアオイへと向き直ると、彼女の体をふわりと抱え…城の外へと飛び出した。
「アオイさん…」
降り注ぐ月の光を浴びながら腕の中のアオイを見つめ、幸せそうに微笑むセンスイ。その遥か後方では…
「…っ!!姫様っっ!!!」
悲痛な声をあげ、見えなくなりつつある二人の姿を必死に追いかけているいくつもの影。
「……」
(ごめんなさいカイ、皆…)
(…お願い、時間をちょうだい…)
親しい者を裏切ってしまった罪悪感と胸の痛みに押しつぶされそうになりながら…わずかな望みをかけて、センスイの肩へと顔をうずめたアオイだった―――