プリムラ・オブコニカ



しかし、本当に驚くのは俺の方だった。

良い人エピソードを話していると、名古屋が俺の話を聞き流しているような感じがした。

話しながらちょっと意識してみる……「はい」「ええ」「わかりますぅ」「そうですね」しか言ってねえよコイツ。


試しに質問を投げ掛けてみた。


「エリカ、お前好きな食べ物とかあるのか?」

「わかりますぅ」


やっぱり聞いてねえ!!

すげえ、話が全然噛み合ってない。
よくそれでいけると思ったなコイツ。


あまりにも珍しいタイプで思わず立ち止まってしまった。


すると流石に気づいたのか、名古屋は俺を不思議そうな顔で見上げてくる。


何も言わずに、よく見ると意外に美人なんだなとか、なのに変なヤツなんだな、とか考えていると名古屋は顔に何かついているか聞いてきて、綺麗な顔を歪めた。


これは失礼なヤツを見る目だ。
失礼なのはお互い様なんだが。


…にしても、なかなか面白いじゃねえか、名古屋恵理香。

これは生徒会に気に入られるぞ。



……なんだか、ひさびさに面白い日々が送れそうだ。

柄にもなくスキップでもしたい気分になった。
< 9 / 27 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop