プリムラ・オブコニカ
しかし、本当に驚くのは俺の方だった。
良い人エピソードを話していると、名古屋が俺の話を聞き流しているような感じがした。
話しながらちょっと意識してみる……「はい」「ええ」「わかりますぅ」「そうですね」しか言ってねえよコイツ。
試しに質問を投げ掛けてみた。
「エリカ、お前好きな食べ物とかあるのか?」
「わかりますぅ」
やっぱり聞いてねえ!!
すげえ、話が全然噛み合ってない。
よくそれでいけると思ったなコイツ。
あまりにも珍しいタイプで思わず立ち止まってしまった。
すると流石に気づいたのか、名古屋は俺を不思議そうな顔で見上げてくる。
何も言わずに、よく見ると意外に美人なんだなとか、なのに変なヤツなんだな、とか考えていると名古屋は顔に何かついているか聞いてきて、綺麗な顔を歪めた。
これは失礼なヤツを見る目だ。
失礼なのはお互い様なんだが。
…にしても、なかなか面白いじゃねえか、名古屋恵理香。
これは生徒会に気に入られるぞ。
……なんだか、ひさびさに面白い日々が送れそうだ。
柄にもなくスキップでもしたい気分になった。