【短】壁ドン シミュレーション
「なんかね、まだ弟みたい」
「それを言うならお前の方が妹だろ」
「私が世話してるじゃない」
「…まぁ、俺はお前のことを、そんな風に思ったことはないけどな」
彼がまた、真剣に私を見た。
背が伸びて、私はソファーの上に正座した。
「…じゃあ、これからもっと、じっくり考えてもいいですか?」
「なに、考える時間が必要なわけ?」
「うーん、突然すぎて、なんかよくわからない」
「ふぅん」
不服げな顔。
コイツのこと、恋愛対象として見たこともあった。
男として、見ていた日もかなりあった。
でも綾は、私を見てくれなかった。
その間に切り離そうとした感情…でも、それも切り離せていなかったようだ。
だから多分私は、綾が好き。