空色。
【1】溢れた色
時
「紅羽〜!どうしたの?」
窓の外をただただ眺めていると、
聞こえてくる、呼んでいる声。
……他人事みたいにとらえている。
ただ今だけは、
こうやって空を眺めていたいんだ。
「紅羽〜!紅羽ってば!」
「……聞こえてるよ。
どうしたの、結梨?」
前の席に座っているその仕草は、本当に小動物みたい。
高校に入学して2ヶ月。
「良かった〜!
紅羽、ぼうっとしてたから。」
心配そうに眉を下げて見つめてくるこの様子から、もっと早く答えてあげとけばよかったなと少しだけ後悔した。
春が終わり雨ばかりの、この季節。
今日は久しぶりに晴れていた。