涎が出るほど抱き締めて
俺様好みの死に方
椅子のだいに登った。
「…」
高くなった視界から、部屋のなかを見渡す。
相変わらず質素な部屋だ。
…と、いうより、物がない。
理由は借金のカタにぜーんぶ持って行かれたから。
まあ、仕方ない
天井からぶら下げた紐を引っ張る。
輪の形になっていて、ロープと呼ぶのが相応しい一品だ。
ちょっとやそっとじゃ切れないのを確認し、息を整える。
すぅはあと、いとおしく空気を吸った。
最後なんだから。
いざ、首に紐をかけようと顔を乗り出した時だった。
「おねーさん♪
死ぬなら窒息死じゃなくて、刺殺にしてくんない?」
そんな声が聞こえたのは。
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