涎が出るほど抱き締めて

くぴっと缶コーヒーを煽る。


まだ暖かいものが食道を通過し――


「ぅうげっ」


バタバタバタと洗面台へ向かい、盛大に吐く。

胃液とほんのちょっとのコーヒーと…アレと。

「なっ!?大丈夫?」

さすがに心配してくれて、背中を擦ってきた。

よかった、まだ水道は止まってなかったみたい。

蛇口を捻れば出てきた水に安心した。

口を濯ぎ、近くにあった破かれたタオルで拭う。


…よし、大分落ち着いた。


「…すみません。ここ何日間なにも食べてなくて、いきなり入ったのが刺激物だったから…」


胃がびっくりしちゃったみたいだ。

「…ふぅん」

何があったか聞かない彼は、きっと優しい。


「ごめん、変なこと言っていい?」


視線がさ迷って、綺麗にゆすいだ洗面台を見た。




「君、今吐いたの胃液だけじゃないよね?


――精液…」




言いづらそうに顔を歪めた。

…ああ、やっぱり男性だとバレちゃうんだな。


「…はい。そうです。




私、2日間レイプされてたんです」




この部屋で。

監禁状態で。


何人かはわからないけど、ずっとヤられてた。
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