涎が出るほど抱き締めて


「ハイエナ。人の屍肉を食べる化け物だよー」





ぎゅぅ。


抱き締められたところがあわだつ。



「え、ちょ、は…へ?」



「ハハハ、晴ちゃんかわいー」


なに抱き締めてるのあなた。


だってあなたは化け物で。

人の屍肉を食べるって。


私は、人で――




「は、離し…離してくださっ」


恐怖は遅れてやってきた。


「大丈夫、君に興味はないよ」


ならなんで抱き締めてるの。

「だってさ、考えてみー?俺屍肉食べるんだよ?おねーさん…晴ちゃん生きてるじゃん」

「あぁ…なら安心…じゃなくて!なんで私の名前…」

「見てたから」

「見てたからってそんなことで……て、え?」



今、何て言った?



「今…」

「見てたんだ。おねーさんを…晴ちゃんをずっと」


何を言ってるの。

だって、私あなた知らない。

死のうと思ってた今日、初めてあったんだ。


「なん…え?」


頭がこんがらがりすぎてクラクラする。
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