君の名を呼んで 2
***
ナナミちゃん達のデビューイベントライブの日。
招待席にはちゃんと、ナナミちゃんのご両親とお兄さんが座っていた。
あれから少しずつ、ナナミちゃんと家族の間には会話が増えて、時には彼女が出た番組を一緒に観てくれるのだという。
少しずつだけど、良い方向に向かえば良いな。
本番が終わった後、ナナミちゃんのお兄さんが私のところへ来て、
「あの、これからも妹を宜しくお願いします」
と言ってくれたのが嬉しくて。
「任せて下さい」
と微笑んだら、彼がガシッと私の両手を握りしめた。
あ、あれ?
なんだか妙な熱視線に首を傾げる私。
お兄さんは頬を赤く染めながら、勢い込んで言う。
「あの!もし良ければ今度お食事でも」
「それに手を出すなら損害賠償どころじゃ済まないが?」
冷酷そのものの声音で彼から私の手を取り返すのは、不機嫌そうな城ノ内副社長。
「え、彼女は芸能人じゃなくてマネージャーなんでしょ?」
お兄さんが焦ったように副社長を見る。
彼は顎を上げて言い放った。
「お生憎。それは、うちの最終秘密兵器でな。ついでに俺の私物だ。いくら積まれても誰にもやれねぇな」
なんなの、この人達は。
やや涙目加減のお兄さんに若干の同情を交えつつも。
「ずるいですよ、あんた!」
「あ?外出るか?」
まったく、何なんだ。
私は呆れてその場を離れる。
ナナミちゃん達のデビューイベントライブの日。
招待席にはちゃんと、ナナミちゃんのご両親とお兄さんが座っていた。
あれから少しずつ、ナナミちゃんと家族の間には会話が増えて、時には彼女が出た番組を一緒に観てくれるのだという。
少しずつだけど、良い方向に向かえば良いな。
本番が終わった後、ナナミちゃんのお兄さんが私のところへ来て、
「あの、これからも妹を宜しくお願いします」
と言ってくれたのが嬉しくて。
「任せて下さい」
と微笑んだら、彼がガシッと私の両手を握りしめた。
あ、あれ?
なんだか妙な熱視線に首を傾げる私。
お兄さんは頬を赤く染めながら、勢い込んで言う。
「あの!もし良ければ今度お食事でも」
「それに手を出すなら損害賠償どころじゃ済まないが?」
冷酷そのものの声音で彼から私の手を取り返すのは、不機嫌そうな城ノ内副社長。
「え、彼女は芸能人じゃなくてマネージャーなんでしょ?」
お兄さんが焦ったように副社長を見る。
彼は顎を上げて言い放った。
「お生憎。それは、うちの最終秘密兵器でな。ついでに俺の私物だ。いくら積まれても誰にもやれねぇな」
なんなの、この人達は。
やや涙目加減のお兄さんに若干の同情を交えつつも。
「ずるいですよ、あんた!」
「あ?外出るか?」
まったく、何なんだ。
私は呆れてその場を離れる。