君の名を呼んで 2
私は妥協案を探す。

「じゃあ、要君……」

「かーなーめ」

やけにこだわる彼に私が眉を下げると、すずがニヤニヤのまま「いいんじゃない?」なんて言う。

「……じゃあ、要」

少し照れながらそう呼べば、彼はまたくしゃっと笑った。

「ん、雪姫」

その手が私の頭をぐしゃぐしゃと撫でて。

「ちょ、ちょっと、もう私子供じゃないんだけど!」

「ん?あんま変わらないんじゃねーの?」

ま、まただ。
どうして私の子供の頃を知ってる人は、今の私の事がすぐに見分けられるんだろ。
私そんなに童顔なのかなあ。軽くへこむわ。

「ちょっとお、変わらないわけ無いでしょう、もう十年以上経つのに」

彼の手を避けて口を尖らせた私を見て、要は一瞬真顔になって。

「そうだな。……綺麗になったな」

なんて言うから。
思わずドキッとして慌てて笑った。

「もう!今更お世辞言っても遅いよ!」

「あはは、やっぱり?」

要は軽く首を傾げて笑う。
なんだ、やっぱりからかわれてたのか、びっくりした。


そんな私達を眺めながら、

「わあお、城ノ内さんピンチー……」

なんてすずが呟いていた事には、気づかなかった。
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