君の名を呼んで 2
彼は私の頭を撫でた。子供の頃のように。
「あの頃のお前が大切で、今のお前に執着した。あのストーカーと変わらないな、俺は」
私はそんなことない、と言った。
だって、あの瞬間の要は、確かに笑ってくれた。
「幸せ、なんだよな?雪姫」
ああ、ただそれを確かめたかったのね。
要の問いに、私は後ろを振り返った。
ナナミちゃんのお兄さんとの口論が終わったのか、一人腕組みして、こちらを見ていた皇と目が合う。
「うん、すっごく」
自然に口の端に登った笑みに、要が目を見開いて。
「……て、格好つけようとしたけど。やっぱ、無理。諦めきれない」
は?
耳に入った要の言葉に、キョトンと彼を見上げた瞬間ーー。
チュ、と音を立てて、私の唇に触れた、かすかな熱。
「そのうち絶対、城ノ内さんから奪うから」
くしゃっと笑って。そんな宣戦布告をして。
要は颯爽と、去っていったーー。
「あいつ殺す、潰す、埋める」
気がつくとすぐ隣で、低い低い声。
「こ、皇~?」
こ、怖くて彼が見られない。
「もしもし白鳥、もいっかい銃貸せ。ああ?法律がなんだ今更そんなもん。てめえの若作りの方がよっぽど法に抵触するってんだよ、この野郎」
携帯を素早く取り出して、不穏な依頼なんだか喧嘩なんだかをおっぱじめた旦那様は、その片手でぎゅうっと私の手を握った。
あら。
それにちょっと照れてしまった私は、完全に油断していて。
「たっぷりお仕置きだな、雪姫」
その台詞が耳から脳に届くまで、しばらくフリーズしてしまっていた。
「あの頃のお前が大切で、今のお前に執着した。あのストーカーと変わらないな、俺は」
私はそんなことない、と言った。
だって、あの瞬間の要は、確かに笑ってくれた。
「幸せ、なんだよな?雪姫」
ああ、ただそれを確かめたかったのね。
要の問いに、私は後ろを振り返った。
ナナミちゃんのお兄さんとの口論が終わったのか、一人腕組みして、こちらを見ていた皇と目が合う。
「うん、すっごく」
自然に口の端に登った笑みに、要が目を見開いて。
「……て、格好つけようとしたけど。やっぱ、無理。諦めきれない」
は?
耳に入った要の言葉に、キョトンと彼を見上げた瞬間ーー。
チュ、と音を立てて、私の唇に触れた、かすかな熱。
「そのうち絶対、城ノ内さんから奪うから」
くしゃっと笑って。そんな宣戦布告をして。
要は颯爽と、去っていったーー。
「あいつ殺す、潰す、埋める」
気がつくとすぐ隣で、低い低い声。
「こ、皇~?」
こ、怖くて彼が見られない。
「もしもし白鳥、もいっかい銃貸せ。ああ?法律がなんだ今更そんなもん。てめえの若作りの方がよっぽど法に抵触するってんだよ、この野郎」
携帯を素早く取り出して、不穏な依頼なんだか喧嘩なんだかをおっぱじめた旦那様は、その片手でぎゅうっと私の手を握った。
あら。
それにちょっと照れてしまった私は、完全に油断していて。
「たっぷりお仕置きだな、雪姫」
その台詞が耳から脳に届くまで、しばらくフリーズしてしまっていた。