君の名を呼んで 2
俺はバッグから台本を取り出した。梶原に渡す。
「はい、梶原」
それを受け取って、パラパラとめくった彼女は、パタン!とすぐに閉じた。
「ハイっ、雪姫おっけいですっ!」
元気よく片手を上げる梶原に、俺は『キーワード』を囁いた。
「シーン22、スタート!」
その瞬間、梶原の空気がすっと変わる。
「『先輩、私』」
両手を胸元で組んで、潤んだ瞳で上目遣いに見上げて。
上気した頬が、濡れた唇が、妙に艶めかしい。
「『先輩のことが、好き』」
「「「ーーー!!!」」」
男三人が、ビールを盛大に吹いた。
うわ、きったねえ!
でも俺は耐性があるからともかく、これをまともにやられたら、クる。
真野社長と朔は真っ赤な顔をして。
城ノ内副社長も珍しく、目を見開いて口元に手を当てて、赤い顔をしているような。
「こ、これって」
「梶原すげーんスよ。台本見て一発で覚えて即興で演技できんの。酔っぱらってるとき限定なんですけどね」
そう。
惜しむらくは、これがシラフだと全くできないってとこ。できてりゃ大女優になれんのになあ。
しかもなんか妙に妖しいつうか、エロいっつうか。普段どこに隠してんだよ、その色気。
青春ドラマの台本なのに、一気に深夜テイストだぞ。
城ノ内副社長がボソッと呟いた。
「真野、AVの台本よこせ。いや昼ドラでもいい。今すぐ」
「城ノ内っ!頼むから家でやって!心臓に悪い!」
「おい星野、今のもうワンテイク。ムービー撮るから」
「城ノ内さん!頼むから落ち着いて!」
「あ、もう寝ちゃいましたね。本番一発なんですよこれ」
男どもの動揺なんてどこ吹く風で。
うちの白雪姫サマはすやすやと、旦那様である城ノ内副社長の膝で眠っていましたとさ。
後日。
「ねぇ、最近なんだか城ノ内副社長がやたら私に呑ませたがるんだけど。私なんかした?」
「いやーなんでだろーねー?俺知ーらない」
~fin
「はい、梶原」
それを受け取って、パラパラとめくった彼女は、パタン!とすぐに閉じた。
「ハイっ、雪姫おっけいですっ!」
元気よく片手を上げる梶原に、俺は『キーワード』を囁いた。
「シーン22、スタート!」
その瞬間、梶原の空気がすっと変わる。
「『先輩、私』」
両手を胸元で組んで、潤んだ瞳で上目遣いに見上げて。
上気した頬が、濡れた唇が、妙に艶めかしい。
「『先輩のことが、好き』」
「「「ーーー!!!」」」
男三人が、ビールを盛大に吹いた。
うわ、きったねえ!
でも俺は耐性があるからともかく、これをまともにやられたら、クる。
真野社長と朔は真っ赤な顔をして。
城ノ内副社長も珍しく、目を見開いて口元に手を当てて、赤い顔をしているような。
「こ、これって」
「梶原すげーんスよ。台本見て一発で覚えて即興で演技できんの。酔っぱらってるとき限定なんですけどね」
そう。
惜しむらくは、これがシラフだと全くできないってとこ。できてりゃ大女優になれんのになあ。
しかもなんか妙に妖しいつうか、エロいっつうか。普段どこに隠してんだよ、その色気。
青春ドラマの台本なのに、一気に深夜テイストだぞ。
城ノ内副社長がボソッと呟いた。
「真野、AVの台本よこせ。いや昼ドラでもいい。今すぐ」
「城ノ内っ!頼むから家でやって!心臓に悪い!」
「おい星野、今のもうワンテイク。ムービー撮るから」
「城ノ内さん!頼むから落ち着いて!」
「あ、もう寝ちゃいましたね。本番一発なんですよこれ」
男どもの動揺なんてどこ吹く風で。
うちの白雪姫サマはすやすやと、旦那様である城ノ内副社長の膝で眠っていましたとさ。
後日。
「ねぇ、最近なんだか城ノ内副社長がやたら私に呑ませたがるんだけど。私なんかした?」
「いやーなんでだろーねー?俺知ーらない」
~fin