君の名を呼んで 2
あれから何度か、遠目に先輩を見かけた事はある。ううん、見つけたけど、近付けなかった。
ハッキリさせたい気持ちとは裏腹に、いざ二ノ宮先輩を見かけたなら、あたしの足は勝手に止まってしまう。
身体は勝手に回れ右をしてしまう。
ホントは、怖いんだ。
あのキスに、大した意味はなかったのかもしれない。それを確認するのが。
二ノ宮先輩はいい加減な人じゃない。でも、信じられるほど彼を知らない。
あたしには、ファーストキスだったのに。
そんなことにまで、こだわって。あたしはやっぱりガキだ。
「すず」
ビクン、と背中が反り返った。
「……おはようございます、二ノ宮先輩」
振り返れば、それはそれは素敵にイケメンな看板俳優が立っていた。
「おはよう、すず。ところでこの一週間、俺のこと避けてたよね」
ギャ!いきなり本題だ!
「そ、そんなことは」
二ノ宮先輩はニコニコ最上級の笑顔のまま、あたしの頭をガシッと掴む。
「俺に演技が通用するとでも?」
「思いません、すみません、避けてました!」
撫でられるのとは到底違うのに、その手にドキドキする。
ああ、重症だ。
「あのさ、すず。この間のことだけど」
ふと先輩の空気が変わって。
それを察して彼を見上げた、とき。
「二ノ宮さあん!」
牧アカリがどこからか走ってきて、あたしと二ノ宮先輩の間に割り込むように立った。
「今度のドラマ、よろしくお願いしまあす!」
「え?あ、ああ。こちらこそ」
パチパチつけまつげで、可愛いオンナアピールしてるアカリにうんざりしながら一歩下がる。
「じゃあ、先輩。あたし、マネージャーと打ち合わせなので」
言外に雪姫ちゃんを待たせてる、と匂わせれば、先輩は行っていいよ、と頷いた。
先輩は雪姫ちゃんの邪魔になることはしない。
それを分かってて、あえて言ったのに。
先輩があたしを引きとめないことに、傷ついちゃ、ダメだ。
あたしは複雑な気持ちを押し込めて、廊下を進んだ。
ハッキリさせたい気持ちとは裏腹に、いざ二ノ宮先輩を見かけたなら、あたしの足は勝手に止まってしまう。
身体は勝手に回れ右をしてしまう。
ホントは、怖いんだ。
あのキスに、大した意味はなかったのかもしれない。それを確認するのが。
二ノ宮先輩はいい加減な人じゃない。でも、信じられるほど彼を知らない。
あたしには、ファーストキスだったのに。
そんなことにまで、こだわって。あたしはやっぱりガキだ。
「すず」
ビクン、と背中が反り返った。
「……おはようございます、二ノ宮先輩」
振り返れば、それはそれは素敵にイケメンな看板俳優が立っていた。
「おはよう、すず。ところでこの一週間、俺のこと避けてたよね」
ギャ!いきなり本題だ!
「そ、そんなことは」
二ノ宮先輩はニコニコ最上級の笑顔のまま、あたしの頭をガシッと掴む。
「俺に演技が通用するとでも?」
「思いません、すみません、避けてました!」
撫でられるのとは到底違うのに、その手にドキドキする。
ああ、重症だ。
「あのさ、すず。この間のことだけど」
ふと先輩の空気が変わって。
それを察して彼を見上げた、とき。
「二ノ宮さあん!」
牧アカリがどこからか走ってきて、あたしと二ノ宮先輩の間に割り込むように立った。
「今度のドラマ、よろしくお願いしまあす!」
「え?あ、ああ。こちらこそ」
パチパチつけまつげで、可愛いオンナアピールしてるアカリにうんざりしながら一歩下がる。
「じゃあ、先輩。あたし、マネージャーと打ち合わせなので」
言外に雪姫ちゃんを待たせてる、と匂わせれば、先輩は行っていいよ、と頷いた。
先輩は雪姫ちゃんの邪魔になることはしない。
それを分かってて、あえて言ったのに。
先輩があたしを引きとめないことに、傷ついちゃ、ダメだ。
あたしは複雑な気持ちを押し込めて、廊下を進んだ。