君の名を呼んで 2
雪姫ちゃんにワガママを言って、あたしは帰りに二ノ宮先輩のマンションに寄ってもらった。
といっても人目があるから、雪姫ちゃんが近くの公園の駐車場に車を停めて、あたしは携帯で先輩を呼び出す。
走って来てくれた先輩に雪姫ちゃんが笑って、
「私は向かいのカフェにいるから。話が終わったら連絡して」
と車の外へと出て行った。
ほんと、彼女には頭が上がらない。
「すず……」
人に見られないようにとの苦肉の策とはいえ、後部座席に二人で並べばなんだか密会してるみたいでドキドキした。
「どうした?」
二ノ宮の香りに、ぎゅうっと胸が締め付けられる。
彼の視線は優しくて。
あたしが言おうとしてることが、彼にとって迷惑なだけなんじゃないかと、急に怖くなった。
だけど。
雪姫ちゃんの顔を思い出す。
『絶対、後悔しないで。その後の事は、私達に任せて』
うん。
あたしは、助けてくれる人を、応援してくれる人を、忘れちゃいけない。
「あたし、あることないこと書かれて、潰されるほどヤワじゃありません。あたしのホントの気持ちなんて、あたしの大事な人達に知ってて貰えれば、それでいい。きっと皆にたくさん迷惑かけるけど、女優だからって、女優だからこそ、自分にまで演技したくない」
あたしの唐突な前置きに、彼はどんな話が見当がついた様子で。
顔がこわばった。
「すず、お前は何もわかってない」
あたしは首を振る。
「わかってる!障害の方が多い事も、二ノ宮先輩に迷惑がかかる事も!でも、あたしは!先輩のことが!」
勢いこんで、口を開いたあたしの肩を押さえ込むように先輩が掴んだ。
あたし達はそのまま後部座席のシートに倒れこむ。
といっても人目があるから、雪姫ちゃんが近くの公園の駐車場に車を停めて、あたしは携帯で先輩を呼び出す。
走って来てくれた先輩に雪姫ちゃんが笑って、
「私は向かいのカフェにいるから。話が終わったら連絡して」
と車の外へと出て行った。
ほんと、彼女には頭が上がらない。
「すず……」
人に見られないようにとの苦肉の策とはいえ、後部座席に二人で並べばなんだか密会してるみたいでドキドキした。
「どうした?」
二ノ宮の香りに、ぎゅうっと胸が締め付けられる。
彼の視線は優しくて。
あたしが言おうとしてることが、彼にとって迷惑なだけなんじゃないかと、急に怖くなった。
だけど。
雪姫ちゃんの顔を思い出す。
『絶対、後悔しないで。その後の事は、私達に任せて』
うん。
あたしは、助けてくれる人を、応援してくれる人を、忘れちゃいけない。
「あたし、あることないこと書かれて、潰されるほどヤワじゃありません。あたしのホントの気持ちなんて、あたしの大事な人達に知ってて貰えれば、それでいい。きっと皆にたくさん迷惑かけるけど、女優だからって、女優だからこそ、自分にまで演技したくない」
あたしの唐突な前置きに、彼はどんな話が見当がついた様子で。
顔がこわばった。
「すず、お前は何もわかってない」
あたしは首を振る。
「わかってる!障害の方が多い事も、二ノ宮先輩に迷惑がかかる事も!でも、あたしは!先輩のことが!」
勢いこんで、口を開いたあたしの肩を押さえ込むように先輩が掴んだ。
あたし達はそのまま後部座席のシートに倒れこむ。