君の名を呼んで 2
い、今じゃない?
「城ノ内さんと旅行に行くの」って一言言えばーー。
「あ、ここで良いです!ありがとうございます、梶原さん」
けれど無情にもタイムアップ。
駅までの短い時間では、私にはなす術もなく。
「気をつけて、また明日ね」
って、笑顔で見送るしか無かった。
ふう、と息を吐いて、信号待ちにハンドルに額をくっつける。
考え過ぎ、だよね。
皇の周りなんて普段から、綺麗なお姉さん達で溢れてるのに。
結婚してたって構わずにアピールしてくる女性だってたくさん居る。
なのにどうして?
こんなに胸騒ぎがするんだろう。
*
その後一度社に戻って、仕事を片付けて。
皇と一緒に帰宅するなり、椅子に座らされた私。
「雪姫、さあ吐いてもらおうか」
ダイニングのテーブル越しに詰め寄られて。
どっから持って来たのか、デスクライトを当てられ気分はすっかり取調室。
脚を組んで尊大に座る皇が刑事役なら、私みたいな小心者の犯人はひとたまりもない。
ああ、だから帰り道のスーパーで丼を買ったのね……。
皇、ノリノリだわ。
「初恋が、なんだって?」
……しっかり聞いていたらしい。
「初恋?そんなこと言いました?」
「ちなみにすずからウラは取ってあるからな」
……すず~!
用意周到な皇に逆らえず、結局渋々、要のことを話したなら、
「ああ、あいつか」
彼はあっさりと言った。
「城ノ内さんと旅行に行くの」って一言言えばーー。
「あ、ここで良いです!ありがとうございます、梶原さん」
けれど無情にもタイムアップ。
駅までの短い時間では、私にはなす術もなく。
「気をつけて、また明日ね」
って、笑顔で見送るしか無かった。
ふう、と息を吐いて、信号待ちにハンドルに額をくっつける。
考え過ぎ、だよね。
皇の周りなんて普段から、綺麗なお姉さん達で溢れてるのに。
結婚してたって構わずにアピールしてくる女性だってたくさん居る。
なのにどうして?
こんなに胸騒ぎがするんだろう。
*
その後一度社に戻って、仕事を片付けて。
皇と一緒に帰宅するなり、椅子に座らされた私。
「雪姫、さあ吐いてもらおうか」
ダイニングのテーブル越しに詰め寄られて。
どっから持って来たのか、デスクライトを当てられ気分はすっかり取調室。
脚を組んで尊大に座る皇が刑事役なら、私みたいな小心者の犯人はひとたまりもない。
ああ、だから帰り道のスーパーで丼を買ったのね……。
皇、ノリノリだわ。
「初恋が、なんだって?」
……しっかり聞いていたらしい。
「初恋?そんなこと言いました?」
「ちなみにすずからウラは取ってあるからな」
……すず~!
用意周到な皇に逆らえず、結局渋々、要のことを話したなら、
「ああ、あいつか」
彼はあっさりと言った。