君の名を呼んで 2
「知ってるんですか?」
「お前の出てた番組は観てたって言ったろ。へえ、アイツ俳優になったのか」
どうやら要本人と知り合いではなく、私の共演者として認識していた程度らしい。
「番組に出てた時から気に入らなかったんだよな。やたらお前との企画が多くて」
「仕方ないですよ。あの頃は私、共演者に嫌われてたから要としかまともに話せなくて……」
苦笑いした私の頭を、テーブルの向こうから皇が手を伸ばして撫でた。
たまにやる、彼の慰め方。
……これ、実は結構好きだったりする。
「それ、嫉妬だろ。番組で一番人気があったの、お前だし。番組企画の人気投票で殿堂入りだもんな」
……そんなことまで知ってるの?
「まさか投票したり」
「皇紀と帝にもハガキ書くのを手伝わせたな、そういや」
……したのね。
私は頭から滑り落ちた指先に頬を寄せた。
「まあ、あの頃が無かったら、私はマネージャーになっていなかったかもしれないし……。今となっては遠い思い出ですよ」
「……で、『要』かよ」
油断しきった私の耳に、皇の声。
う。
人がせっかく気持ちよくまったりしてたのにぃ。
「本人に呼べと言われたら断れないもの。彼もただ昔を懐かしんでるだけですよ」
朔や桜里も呼び捨てにしてるのに。
どうやら『初恋の人』って単語に引っかかったらしい。
そこまで考えて、ふとナナミちゃんのことを思い出した。
「あの、皇……」
「はい、取り調べごっこ終わり。後はベッドで続きな」
「え」
「寝室は完全黙秘禁止だから。思う存分、声出して貰おうか」
「変態!どっちかって言うとあなたが犯罪者ですよね!」
ああ、また。
私は彼に問う機会を失って結局そのまま、まあいいか、なんて流してしまったーー。
「お前の出てた番組は観てたって言ったろ。へえ、アイツ俳優になったのか」
どうやら要本人と知り合いではなく、私の共演者として認識していた程度らしい。
「番組に出てた時から気に入らなかったんだよな。やたらお前との企画が多くて」
「仕方ないですよ。あの頃は私、共演者に嫌われてたから要としかまともに話せなくて……」
苦笑いした私の頭を、テーブルの向こうから皇が手を伸ばして撫でた。
たまにやる、彼の慰め方。
……これ、実は結構好きだったりする。
「それ、嫉妬だろ。番組で一番人気があったの、お前だし。番組企画の人気投票で殿堂入りだもんな」
……そんなことまで知ってるの?
「まさか投票したり」
「皇紀と帝にもハガキ書くのを手伝わせたな、そういや」
……したのね。
私は頭から滑り落ちた指先に頬を寄せた。
「まあ、あの頃が無かったら、私はマネージャーになっていなかったかもしれないし……。今となっては遠い思い出ですよ」
「……で、『要』かよ」
油断しきった私の耳に、皇の声。
う。
人がせっかく気持ちよくまったりしてたのにぃ。
「本人に呼べと言われたら断れないもの。彼もただ昔を懐かしんでるだけですよ」
朔や桜里も呼び捨てにしてるのに。
どうやら『初恋の人』って単語に引っかかったらしい。
そこまで考えて、ふとナナミちゃんのことを思い出した。
「あの、皇……」
「はい、取り調べごっこ終わり。後はベッドで続きな」
「え」
「寝室は完全黙秘禁止だから。思う存分、声出して貰おうか」
「変態!どっちかって言うとあなたが犯罪者ですよね!」
ああ、また。
私は彼に問う機会を失って結局そのまま、まあいいか、なんて流してしまったーー。