君の名を呼んで 2
キョトンとした私を、要はクスリと笑って。

「まあ、雪姫はそういうトコがイイんだけど。だからあの旦那に騙されてないか心配になるよ」

「やだなあ、未だに私を心配してくれてるの?要ってばお父さんみたい」

「……せめてお兄ちゃんにしてくれ」

ガクリと落ち込む彼。
それもそうか。
うちは実父が化け物級に若くて美貌を誇る桜里だからなあ。ついつい父に例えてしまった。


「あはは、ゴメン」

笑う私を、要は意味深に見つめる。


「でも、本当にさ。城ノ内さんはお前の信頼に値する男なの?」

彼の視線は、私の背後に向けられた。

「雪姫は知ってるの?本当に彼の全てを」

要の口元が歪む。
話が、妙な方向へ流れて行くのに、得体のしれないざわざわとした不安。


「……な、に?」


さっきから、何を見てーー?


私は怪訝に思い、彼の視線を追って振り返った。
カフェの外、窓の向こう。

停められた車から降りた、長身の男性。

皇が、居た。


「こ、」


彼は車の中に、何か声を掛けている。

一人じゃ、ない?


続いて助手席のドアを開けて中から出てきたのは、ナナミちゃんだったーー。
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