君の名を呼んで 2
店の裏手の駐車場に車を停めていたらしく、皇は私を連れてそちらへ足早に向かう。
黙ったまま私を車に押し込んだ。
周りを見回してーー自分も運転席に乗り込んで、ドアロックを掛け、やっと口を開く。
「家に居ろと言っただろ」
ヤキモチなんかじゃない。
尋常ではない彼の様子に私は戸惑いを返す。
「皇、どうしたの……?」
皇は苛立たしげに煙草を取り出して、けれど火を点けることなく握り潰した。
乱暴な仕草につい、ビクッとしてしまう。
そんな私を見て、我に返ったように皇が苦々しい顔をした。
「こ……」
呼びかけた言葉は彼の唇に塞がれて。
そのまま深く深くキスを繰り返す。
……やっぱり、おかしいよ。
「皇?話して」
「お前は知らなくていい」
遮られた言葉で拒絶された。
それを悲しく思う前に、彼の瞳があまりにも私をまっすぐ見つめていたから、
……信じよう。
皇が、私にとってマイナスになることをするわけない。
違和感を押し込めて、黙って、彼のキスに応えた。
「……ところで。なんであいつと一緒なんだ。思いっきり抱き締められやがって」
そこか!!
ス、スルーじゃなかったのね!
「いやあの、呼ばれてつい。だけど皇だって共同責任ですよ!」
私の抗議に、彼は事情を正しく理解したようで。
ニヤリと笑って新しい煙草を取り出した。
「ああ、マトモに歩けないんだろ?」
皇の手が私の腿を撫でるのをぺしっと払って。
「この鬼畜!変態!傲慢!」
「そんな真っ赤な顔で言われてもなあ。誘ってるようにしか見えねぇな」
「都合の良い目ですね!俺様属性専用メガネでもかけてるんじゃないですか?」
なんて二人でジャレているうちに、私はこの時の違和感を、忘れてしまったんだーー。
後で、後悔するとも知らずに。
黙ったまま私を車に押し込んだ。
周りを見回してーー自分も運転席に乗り込んで、ドアロックを掛け、やっと口を開く。
「家に居ろと言っただろ」
ヤキモチなんかじゃない。
尋常ではない彼の様子に私は戸惑いを返す。
「皇、どうしたの……?」
皇は苛立たしげに煙草を取り出して、けれど火を点けることなく握り潰した。
乱暴な仕草につい、ビクッとしてしまう。
そんな私を見て、我に返ったように皇が苦々しい顔をした。
「こ……」
呼びかけた言葉は彼の唇に塞がれて。
そのまま深く深くキスを繰り返す。
……やっぱり、おかしいよ。
「皇?話して」
「お前は知らなくていい」
遮られた言葉で拒絶された。
それを悲しく思う前に、彼の瞳があまりにも私をまっすぐ見つめていたから、
……信じよう。
皇が、私にとってマイナスになることをするわけない。
違和感を押し込めて、黙って、彼のキスに応えた。
「……ところで。なんであいつと一緒なんだ。思いっきり抱き締められやがって」
そこか!!
ス、スルーじゃなかったのね!
「いやあの、呼ばれてつい。だけど皇だって共同責任ですよ!」
私の抗議に、彼は事情を正しく理解したようで。
ニヤリと笑って新しい煙草を取り出した。
「ああ、マトモに歩けないんだろ?」
皇の手が私の腿を撫でるのをぺしっと払って。
「この鬼畜!変態!傲慢!」
「そんな真っ赤な顔で言われてもなあ。誘ってるようにしか見えねぇな」
「都合の良い目ですね!俺様属性専用メガネでもかけてるんじゃないですか?」
なんて二人でジャレているうちに、私はこの時の違和感を、忘れてしまったんだーー。
後で、後悔するとも知らずに。