君の名を呼んで 2
嘘をついてもいいでしょう?
side ナナミ
家に着けば珍しく兄が居た。
年が離れていて、一人だけ両親に気に入られている彼。
私は兄が大嫌い。
兄は私をジロリと見て、意地悪く笑う。
「良い気なもんだよな。アイドルなんて。こっちは真面目に働いてんのに、笑ってりゃ金になるんだろ」
知らないくせに。
私達がどれだけガンバってダンスや歌のレッスンをしているか。
足は靴ずれだらけ、腕も上がらないくらいヘトヘトなのに。
私は成績を下げないことが親からの条件だったから、睡眠時間を削って勉強もしている。
と言っても、どうせ兄にはわからない。
黙っている私を挑発するように、兄は顎を上げた。
「まさかお前、仕事もらうために援交とかしてないよな?今時の高校生じゃ珍しくもないだろ」
「お兄ちゃん高校教師のくせにそんなこと言っていいの?」
くだらない邪推に冷たい視線を返したら、ますます睨まれた。
兄は私の言葉に、偏見に満ちた台詞で答えた。
「うちは名門校だからな。それに比べて芸能界なんてそんな話溢れてんだろ。お前んとこの社長も副社長もスゲぇイイ男だもんなあ」
「何馬鹿なこと言ってんのよ!城ノ内さん達は、そんな人じゃないーー」
「ああ、お前みたいなガキは相手にもされないか」
兄は私を嘲笑いながら背中を向け、そのまま部屋へと消えた。
なによ!
ただ親に勧められるまま、単純に同じ道を選んだくせに。
お兄ちゃんなんて、教師の仕事に情熱も愛着も感じてないくせに!
“相手にもされてない”
その言葉を噛み締めて、私は携帯を出した。
相手はすぐに出る。
家に着けば珍しく兄が居た。
年が離れていて、一人だけ両親に気に入られている彼。
私は兄が大嫌い。
兄は私をジロリと見て、意地悪く笑う。
「良い気なもんだよな。アイドルなんて。こっちは真面目に働いてんのに、笑ってりゃ金になるんだろ」
知らないくせに。
私達がどれだけガンバってダンスや歌のレッスンをしているか。
足は靴ずれだらけ、腕も上がらないくらいヘトヘトなのに。
私は成績を下げないことが親からの条件だったから、睡眠時間を削って勉強もしている。
と言っても、どうせ兄にはわからない。
黙っている私を挑発するように、兄は顎を上げた。
「まさかお前、仕事もらうために援交とかしてないよな?今時の高校生じゃ珍しくもないだろ」
「お兄ちゃん高校教師のくせにそんなこと言っていいの?」
くだらない邪推に冷たい視線を返したら、ますます睨まれた。
兄は私の言葉に、偏見に満ちた台詞で答えた。
「うちは名門校だからな。それに比べて芸能界なんてそんな話溢れてんだろ。お前んとこの社長も副社長もスゲぇイイ男だもんなあ」
「何馬鹿なこと言ってんのよ!城ノ内さん達は、そんな人じゃないーー」
「ああ、お前みたいなガキは相手にもされないか」
兄は私を嘲笑いながら背中を向け、そのまま部屋へと消えた。
なによ!
ただ親に勧められるまま、単純に同じ道を選んだくせに。
お兄ちゃんなんて、教師の仕事に情熱も愛着も感じてないくせに!
“相手にもされてない”
その言葉を噛み締めて、私は携帯を出した。
相手はすぐに出る。