君の名を呼んで 2
side 皇
夜の高速は飛ばせば半分の時間で都心に戻ってこられた。
ナナミの家に行くと、彼女は玄関に俯いて座っている。
俺に電話してから、ずっとこうしてたのか。
「何があった」
できるだけ怯えさせないように抑えた俺の言葉に、ナナミは顔を上げて、泣きながら答えた。
「兄と、喧嘩して……叩かれたんです。家から出てけって。今日は両親も居ないから」
見ればその片頬が赤く腫れている。
それに哀れみと、ナナミの兄に対する怒りが沸き起こった。
俺は家に入り、そこに居たナナミの兄を睨みつける。
「良い歳して、妹殴るのはどうかと思うが」
彼はさすがにきまり悪そうにしていたが、妹を見て俺に反論してきた。
「コイツが悪いんだよ。今日に限って反抗しやがって。生徒は皆俺の事を馬鹿にしてるとか、教師なんか向いてないとか、何も考えてないくせにとか……。喧嘩売って来たのはコイツの方だ」
俺は苦々しい思いで、ナナミを見た。
今まで受け流していたようだったのに、よほど耐えかねたのか。
ひとまず俺がここに来た意味を果たそうとーーナナミの兄に向かって『仕事』をする。
「だからって暴力に訴えるならこちらもそれなりの手段を取らせて頂く。ナナミはBNPの所属アイドルだ。契約違反で損害賠償を求めることも出来るんだからな。
ーーアンタも、ご両親でさえも、ナナミを勝手に傷つけることは許さない」
俺の言葉に、ナナミの兄は息を呑んで。
悔しげに身を翻すと、おそらく自室があるであろう上階に行ってしまった。
夜の高速は飛ばせば半分の時間で都心に戻ってこられた。
ナナミの家に行くと、彼女は玄関に俯いて座っている。
俺に電話してから、ずっとこうしてたのか。
「何があった」
できるだけ怯えさせないように抑えた俺の言葉に、ナナミは顔を上げて、泣きながら答えた。
「兄と、喧嘩して……叩かれたんです。家から出てけって。今日は両親も居ないから」
見ればその片頬が赤く腫れている。
それに哀れみと、ナナミの兄に対する怒りが沸き起こった。
俺は家に入り、そこに居たナナミの兄を睨みつける。
「良い歳して、妹殴るのはどうかと思うが」
彼はさすがにきまり悪そうにしていたが、妹を見て俺に反論してきた。
「コイツが悪いんだよ。今日に限って反抗しやがって。生徒は皆俺の事を馬鹿にしてるとか、教師なんか向いてないとか、何も考えてないくせにとか……。喧嘩売って来たのはコイツの方だ」
俺は苦々しい思いで、ナナミを見た。
今まで受け流していたようだったのに、よほど耐えかねたのか。
ひとまず俺がここに来た意味を果たそうとーーナナミの兄に向かって『仕事』をする。
「だからって暴力に訴えるならこちらもそれなりの手段を取らせて頂く。ナナミはBNPの所属アイドルだ。契約違反で損害賠償を求めることも出来るんだからな。
ーーアンタも、ご両親でさえも、ナナミを勝手に傷つけることは許さない」
俺の言葉に、ナナミの兄は息を呑んで。
悔しげに身を翻すと、おそらく自室があるであろう上階に行ってしまった。