君の名を呼んで 2
一人じゃないよ
それは“トリチェリ”のデビューイベントを数日後に控えて、慌ただしい中のこと。
私は真野社長とイベントの準備をしていた。
「梶原さん、ナナミが居ないんです!」
カスミちゃんとハツミちゃんが真っ青な顔をして私のところへ来て。
「控え室までは一緒だったんだけど、家族から電話があったみたいで。携帯で話してるうちにナナミが泣き出して」
ハツミちゃんの説明に、真野社長と私は顔を見合わせる。
彼は頷いて、私に言った。
「梶原ちゃん、中を探してくれる?俺は外探してみるから」
「わかりました」
カスミちゃん達を控え室に残し、私は小走りで建物の中を探す。
どこにいっちゃったんだろう。
空いている部屋を片っ端からまわり、屋上庭園へ出ると。
「……ナナミちゃん」
彼女は手すりにもたれて立っていた。
息を切らせた私を見て、目をつり上げる。
「どうしてあなたが来るんですか」
私は彼女に近づいた。
「デビューなんて、もうなんの意味もない。うちの恥さらしだって、デビューするなら帰ってくるなって言われたんです。
私が出たって、家族は誰も喜ばないし、城ノ内さんだってーー!」
「じゃあやめれば?」
私はナナミちゃんに向かって言った。
私は真野社長とイベントの準備をしていた。
「梶原さん、ナナミが居ないんです!」
カスミちゃんとハツミちゃんが真っ青な顔をして私のところへ来て。
「控え室までは一緒だったんだけど、家族から電話があったみたいで。携帯で話してるうちにナナミが泣き出して」
ハツミちゃんの説明に、真野社長と私は顔を見合わせる。
彼は頷いて、私に言った。
「梶原ちゃん、中を探してくれる?俺は外探してみるから」
「わかりました」
カスミちゃん達を控え室に残し、私は小走りで建物の中を探す。
どこにいっちゃったんだろう。
空いている部屋を片っ端からまわり、屋上庭園へ出ると。
「……ナナミちゃん」
彼女は手すりにもたれて立っていた。
息を切らせた私を見て、目をつり上げる。
「どうしてあなたが来るんですか」
私は彼女に近づいた。
「デビューなんて、もうなんの意味もない。うちの恥さらしだって、デビューするなら帰ってくるなって言われたんです。
私が出たって、家族は誰も喜ばないし、城ノ内さんだってーー!」
「じゃあやめれば?」
私はナナミちゃんに向かって言った。