君の名を呼んで 2
帝さんのニヤニヤに、朔の後ろから戻ってきた要が呆れ顔で突っ込んだ。

「監督、そういう趣味なんですか」

「ええ?だってホントに雪姫ちゃんのおにーさんなんだもん、みっくん。かわゆくない弟より、雪姫ちゃんの方がいい」

それを言うなら“お義兄さん”だ。


「監督ー!ラボがグレーディングいつにしますかって」

スタッフが後ろから声を掛けて、帝さんの返事も聞かず引っ張っていく。
問題監督の扱いも手慣れたものだわ。
帝さんはまだ何か文句を言いながらも、スタッフに引きずられていってしまった。
残された俳優陣と私は、苦笑いをしつつそれを見送って。

ふと要が私を見た。
その表情は、今までとは少し、違っていて。


「雪姫、ちょっと時間もらえるかな」

「うん、私も話したい」


あの後、ナナミちゃんに言われた言葉。
それを確かめなきゃ。


『私だけじゃないんです。城ノ内さんと梶原さんを引き裂こうとしたの。月島要が、私の共犯者なんです』


要。

あなたは今、何を考えてるの?
< 75 / 140 >

この作品をシェア

pagetop