君の名を呼んで 2
「で、用件は?」
俺の口調が柔らかくなったのを感じたのか、帝は楽しげに問うてくる。
『今日は雪姫ちゃんにちょっかいをかけるの、邪魔しに来ないの?なあんだか可愛い雪姫ちゃんに色目使ってる若造がいるんだけどお』
「俺はそれほど暇じゃない」
PVの撮影。
朔とすずとーー月島要。
ナナミが思い切った行動に出た一端に、月島要が関わっていたと聞いて。
やっぱりあいつ、気に入らない。
「……が、ちょっと気になることがあるからな。もうスタジオまで来てる」
電話の向こうで帝が笑った。
『惚れてるねえ』
ふん、と鼻を鳴らして応えた。
帝の予想通りに動いているのが癪にさわるが、仕方ない。
きっと雪姫は、ナナミから聞いた話を確かめようとするだろう。
ーー月島本人に。
蓮見の時にそれで散々な目にあったくせに、あいつはきっとまたやる。
自分が一度は信頼した相手だ。
たぶんどこかでまだ、信じてる。
その甘さが、危なっかしい。
「雪姫に危機感てもんを持たせるにはどうしたらいいんだ。そこらで売ってるなら言い値で買い占めてやるのに」
溜め息とともに吐き出した愚痴は、帝の笑い声に消された。
『心底、惚れてるねえ』
「うるさい」
けれど次の瞬間、帝の背後がざわめいて。
『あ?なんの騒ぎだ……え?』
ふと、嫌な予感に襲われる。
『ーー皇、すぐに来い』
帝の声が、緊張を孕んで響いた。
俺の口調が柔らかくなったのを感じたのか、帝は楽しげに問うてくる。
『今日は雪姫ちゃんにちょっかいをかけるの、邪魔しに来ないの?なあんだか可愛い雪姫ちゃんに色目使ってる若造がいるんだけどお』
「俺はそれほど暇じゃない」
PVの撮影。
朔とすずとーー月島要。
ナナミが思い切った行動に出た一端に、月島要が関わっていたと聞いて。
やっぱりあいつ、気に入らない。
「……が、ちょっと気になることがあるからな。もうスタジオまで来てる」
電話の向こうで帝が笑った。
『惚れてるねえ』
ふん、と鼻を鳴らして応えた。
帝の予想通りに動いているのが癪にさわるが、仕方ない。
きっと雪姫は、ナナミから聞いた話を確かめようとするだろう。
ーー月島本人に。
蓮見の時にそれで散々な目にあったくせに、あいつはきっとまたやる。
自分が一度は信頼した相手だ。
たぶんどこかでまだ、信じてる。
その甘さが、危なっかしい。
「雪姫に危機感てもんを持たせるにはどうしたらいいんだ。そこらで売ってるなら言い値で買い占めてやるのに」
溜め息とともに吐き出した愚痴は、帝の笑い声に消された。
『心底、惚れてるねえ』
「うるさい」
けれど次の瞬間、帝の背後がざわめいて。
『あ?なんの騒ぎだ……え?』
ふと、嫌な予感に襲われる。
『ーー皇、すぐに来い』
帝の声が、緊張を孕んで響いた。