君の名を呼んで 2
嫌な予感ほど良く当たる。
俺がその場に着いた時には、スタッフは騒然としていて、人垣の中心には頭にタオルを当ててぐったりと横になっている月島要と、いつになく緊迫した顔をしている帝、泣きじゃくっているすず、それを抱きしめている朔。
「ーー何があった」
見回した顔に、ジリジリと嫌な気分がこみ上げる。
何故、あいつが居ない?
「要が誰かに殴られたらしい」
帝が隅に転がる木材を指し示す。
それが何に使われたのかを悟って、事の異様さを理解し、俺は帝の言葉を待った。その目にためらうような色が浮かぶ。
「何だ、言え!」
苛々と先を促せば、帝ではなく月島要がタオルの隙間から俺を見た。
「雪姫と、一緒だったんだ。彼女も、そいつに殴られた」
「ーー!」
頭が真っ白になった。
「雪姫は……」
どうして、ここに居ない?
病院か?月島がまだここに居るのに?
全員の顔を見渡すーーが、誰もが恐れを含んだような顔をしていて、俺の視線から逃れるように俯いた。
それにじわりと不安が煽られ、思わず睨むように全員を見渡せば。
帝がそれに答える。
「監視カメラに写ってた。……男が、雪姫ちゃんを、抱えて出て行った」
すずが悲鳴をあげるように息を飲んで、朔が彼女の頭を抱え込んだのが見えた。
俺は反射的に携帯を掴んで雪姫の番号へかける。
『おかけになった電話は、ただいま電波の届かない場所にあるかーー』
無情にもアナウンスだけが流れて。
“ガンッ!”
俺は壁に拳を打ち付ける。
俺がその場に着いた時には、スタッフは騒然としていて、人垣の中心には頭にタオルを当ててぐったりと横になっている月島要と、いつになく緊迫した顔をしている帝、泣きじゃくっているすず、それを抱きしめている朔。
「ーー何があった」
見回した顔に、ジリジリと嫌な気分がこみ上げる。
何故、あいつが居ない?
「要が誰かに殴られたらしい」
帝が隅に転がる木材を指し示す。
それが何に使われたのかを悟って、事の異様さを理解し、俺は帝の言葉を待った。その目にためらうような色が浮かぶ。
「何だ、言え!」
苛々と先を促せば、帝ではなく月島要がタオルの隙間から俺を見た。
「雪姫と、一緒だったんだ。彼女も、そいつに殴られた」
「ーー!」
頭が真っ白になった。
「雪姫は……」
どうして、ここに居ない?
病院か?月島がまだここに居るのに?
全員の顔を見渡すーーが、誰もが恐れを含んだような顔をしていて、俺の視線から逃れるように俯いた。
それにじわりと不安が煽られ、思わず睨むように全員を見渡せば。
帝がそれに答える。
「監視カメラに写ってた。……男が、雪姫ちゃんを、抱えて出て行った」
すずが悲鳴をあげるように息を飲んで、朔が彼女の頭を抱え込んだのが見えた。
俺は反射的に携帯を掴んで雪姫の番号へかける。
『おかけになった電話は、ただいま電波の届かない場所にあるかーー』
無情にもアナウンスだけが流れて。
“ガンッ!”
俺は壁に拳を打ち付ける。