君の名を呼んで 2
「雪姫が誘拐された」
『はぁ!?ーーそれ早く言いなよ』
水瀬は一瞬で声音を真剣なものに変えた。
舌打ちと共に本題を告げれば、あっさりと了承してくれる。さすがは冴木の親友。
水瀬はあくまでも軽い口調で、けれど迅速に俺の話を通してくれた。
『大学の同期に仁科ってのがいて、警視庁で働いてるから。彼からデータ送らせる』
「ああ、助かる」
『ーー城ノ内さん、何か手伝えますか』
電話の向こうは冴木の声に変わって、いつの間にか携帯を強く強く握りしめていた俺は、その言葉に力を緩めた。
突然訳の分からない要求をして無礼千万、はた迷惑な奴だと自覚はある。
けれど、こうやって心配してくれる友人が居る。
以前の俺なら、必要ないと切り捨てていたもの。
雪姫と出会ってからは、失うことに怖れを抱く程度には大事だと思えるようになった。
「ーーああ多分、頼むかもしれない」
どうするんだよ、雪姫。
お前は俺をこんなに変えて。
責任とって、一生隣に居させてやる。
ーーだから頼む。
無事で居てくれ。
『はぁ!?ーーそれ早く言いなよ』
水瀬は一瞬で声音を真剣なものに変えた。
舌打ちと共に本題を告げれば、あっさりと了承してくれる。さすがは冴木の親友。
水瀬はあくまでも軽い口調で、けれど迅速に俺の話を通してくれた。
『大学の同期に仁科ってのがいて、警視庁で働いてるから。彼からデータ送らせる』
「ああ、助かる」
『ーー城ノ内さん、何か手伝えますか』
電話の向こうは冴木の声に変わって、いつの間にか携帯を強く強く握りしめていた俺は、その言葉に力を緩めた。
突然訳の分からない要求をして無礼千万、はた迷惑な奴だと自覚はある。
けれど、こうやって心配してくれる友人が居る。
以前の俺なら、必要ないと切り捨てていたもの。
雪姫と出会ってからは、失うことに怖れを抱く程度には大事だと思えるようになった。
「ーーああ多分、頼むかもしれない」
どうするんだよ、雪姫。
お前は俺をこんなに変えて。
責任とって、一生隣に居させてやる。
ーーだから頼む。
無事で居てくれ。