君の名を呼んで 2
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「ゆき、お前また泣いてるの」
あれは確か、私が子役を始めてやっと軌道に乗った頃。
当時8歳ーー小学3年生だった私は、キッズ番組のレギュラーで、共演者の女の子達にイジメられていた。
小学生ともなれば、結構嫌がらせは激化していて、その頃よく助けてくれたのが3歳年上のかなちゃんーー月島要だった。
小学校6年生だったかなちゃんは女の子達の憧れで、鈍感な私を彼が特別気にかけてくれていたのが、また彼女達の気に障ったらしかった。
「かなちゃあん」
私は台本や衣裳を隠されたりすることは日常茶飯事で、そのたびにかなちゃんが一緒に探してくれたり、スタッフに謝ってくれたりしたっけ。
いつもいつも、隠れて泣いていた私を見つけ出してくれて。
「お前、こんな隅っこで泣いて」
「だってくやしいもん!絶対負けたくないもん!」
その頃の私は意地っ張りで、負けず嫌いだったと思う。
そんな危なっかしさも、かなちゃんにとっては頼り無い妹分みたいで、放っておけなかったんだろうな。
私はかなちゃんが大好きで、父である桜里をノーカウントにするなら、確実に私の初恋はかなちゃんだった。
かなちゃんが小学校を卒業すると共に、番組からも卒業することになって、私はわんわん泣いたんだ。
そんな私に、彼が言った。
「ゆき、オレすっげえ俳優になるから。そんで、いつか共演しような。負けんなよ」
今も思い出せる、あの顔で、くしゃっと笑ってーー。
「ゆき、お前また泣いてるの」
あれは確か、私が子役を始めてやっと軌道に乗った頃。
当時8歳ーー小学3年生だった私は、キッズ番組のレギュラーで、共演者の女の子達にイジメられていた。
小学生ともなれば、結構嫌がらせは激化していて、その頃よく助けてくれたのが3歳年上のかなちゃんーー月島要だった。
小学校6年生だったかなちゃんは女の子達の憧れで、鈍感な私を彼が特別気にかけてくれていたのが、また彼女達の気に障ったらしかった。
「かなちゃあん」
私は台本や衣裳を隠されたりすることは日常茶飯事で、そのたびにかなちゃんが一緒に探してくれたり、スタッフに謝ってくれたりしたっけ。
いつもいつも、隠れて泣いていた私を見つけ出してくれて。
「お前、こんな隅っこで泣いて」
「だってくやしいもん!絶対負けたくないもん!」
その頃の私は意地っ張りで、負けず嫌いだったと思う。
そんな危なっかしさも、かなちゃんにとっては頼り無い妹分みたいで、放っておけなかったんだろうな。
私はかなちゃんが大好きで、父である桜里をノーカウントにするなら、確実に私の初恋はかなちゃんだった。
かなちゃんが小学校を卒業すると共に、番組からも卒業することになって、私はわんわん泣いたんだ。
そんな私に、彼が言った。
「ゆき、オレすっげえ俳優になるから。そんで、いつか共演しような。負けんなよ」
今も思い出せる、あの顔で、くしゃっと笑ってーー。