milky way【BL】
「おはようございますっ!」
二人分の明るい声が厨房に響く。
「おはよう」
やってきたのは、アキくんとハルカちゃん。
二人はアルバイトスタッフで、夕方から夜の『milky way』を賑わしてくれている。
「シズルは? 今日は居ないッ!?」
「今日は休みだよ」
訝しげな顔をして聞いてくるのは何時ものことで。アキくんはホールをチラリと覗いてその姿が見えないのを確認すると、安堵の息を吐く。
彼は、大が付くほどシズル君のことが嫌いなのだ。
一緒に働く仲間同士、仲良くやって貰いたいんだけれどね。
でも、嫌い嫌いと言いながらも、心の底からお互い嫌い合ってる訳じゃないみたいだし。きっと時間が経てば二人の仲も良くなる……といいな。
「今日は居ないよ。十一時頃になれば来るかも知れないけどね」
「……十時で帰っていいですかっ!?」
「勿論構わないよ」
前言撤回。アキくんのシズルくん嫌いは治りそうにないな。
「マスター、チーズケーキ終わっちゃいました」
ホールから戻ってきたハルカちゃんに、僕の思考は仕事モードに戻される。
「悪いんだけど、今手が離せないから裏の冷蔵庫からゼリー持ってきてくれる? ボードも変えておいてね」
「はーい」
オーダー票を確認しながら皿を並べて料理を盛りつけたところで、奥で着替えたアキくんが出てきた。
時計の針は六時きっかり。
小さなカフェとはいえ、この時間帯は一日で最も混雑する。